他人の金


「き、気持ちe-…」
筆者は思わず声を漏らした。



長い休息を取っていたhissha日記。
励ましのメールを色々頂いた。
「どうしたの?」
「もっと書いてください」
「読まないと眠れません」



…知るか。
他に楽しみを覚えたので、書くのではなく、カイテイタとでも言っておこう。
そんなこんなで、ホッタラカシていたhissha日記。
この休息期間、タイ人のホモとのバトル(詳細次号―予定)、少年ヤンガスとの不思議な出会い、ジェシカのパフパフ縛り(DQ8のキャラのスキルの一つ。全てのバトルでジェシカはパフパフをしか選ばないでクリアする縛りプレイ)など数多くの出来事があった。
そんな思い出を走馬灯のように思いつつ、


思い当たりマッタリ系「他者へのプレゼント」、いざ開幕。。。




性癖2007年9月。
明後日は3連休。
その初日はゴルフコンペだ。



人の和をモットーとする筆者。
パンピーに群がられる習性があるのか。
カリスマティックなオイニーがムンムンしているのか。
そんなことは汁知らず、筆者はいつも人の群れの中心にいる。
当然、筆者がゴルフをすればパンピーが集まる。
そんなわけで、筆者が幹事を勤める今回のゴルフコンペの参加者は23名。
内女性半数。
筆者のカリスマティックなオイニーに誘われて参加したに違いない。
中には妖獣や珍獣もいるが、一応は女性ということにしておこう。


筆者は一人ショッピングセンターに降り立った。
そう、ゴルフコンペの賞品の買出しである。



今回は妖銃珍獣を含め10数名の女性が参加することもあり、珍獣や妖銃までもが喜ぶようなグッズをチョイスしなければいけない。
筆者のカリスマティックなセンスを駆使し、賞品をセレクションしなければならない。
まず、しょぼれたショッピングセンター内にあるゴルフ屋に足を向ける。
ゴルフコンペになくてはならないちょっとしたアイテム(ドラコンの旗とか)を買うためだ。
ここでかるく物色する。


NIKEの超カッコいいシャツがNow on saleだ。
が、しかし。
男性はスリマーな筆者もいるが、ブーデーもいらっしゃる。
女性は20代前半から妖銃珍獣までいらっしゃる。
どんなに伸縮可能なNIKEのシャツでもダイバーシティあふれる体型を全て包み込む事は不可能だ。


ゴルフボール。
初心者が馬鹿みたいなハンデで優勝することもありえる。
彼らに新品のNIKEボールは似合わない。


ゴルフバック。
最新型のバックは初心者には似合わない。
優勝が目に見えている筆者は既にかっちょいいバックを持っているので却下。


パター(ゴルフクラブの一種)。
サウスポーな方もいるので、これも却下。


こう考えると、ゴルフショップでコンペの賞品を買うのは無理だ。
ということで、おもむろにお酒のディスカウントストアに行ってみる。
ビール1ケースとかもらったら嬉しくない?と思いながら。




ちなみに筆者は買い物客として、非常に面白い習性を持つ。
ポケモンをやりすぎたようなコンサルがよく買い物核分析で使うマッピングでは、価格志向と品質志向が軸となり、買い物客を4つのセグメントに分け、それぞれのセグメントにピカチューのような名前をつけるのだが、筆者はそのチャンチャラ可笑しい軸が合っていないのでそこに入らない。



筆者は「時間」と「楽しさ」を価値と置く購買者だからだ。
この購買者層、欧米では既に購買者の約30%がその習性を持つといわれており、ここ日本でも2020年からメジャーになる層であると一説では言われている。
ではそのような購買者層がどのような購買パターンを持つのか。




ここで詳しく書くとアレなので、一緒に買い物に同行するシミュレーションをしてみることで、説明と代えさせていただく。




まず、入り口で彼はショッピングカートを手に入れる。
カート大きければ大きいほど良い。
次に店を右から回り、決して立ち止まらない。
常に前に歩き続けている。
ちなみに行動心理学的観点から考察すると、右から回る習性を持つ人ほど人間の器が大きいとこの分野の第一人者のニコルソン教授は発表している(イリノイ州人間行動心理学学会1999年発表より)。



左手でカートを押し、左手の「本日買わなければいけないリスト」が書かれているメモを親指付近に持つ。
右手はフリーだ。
目線は自分の右の棚を歩きながら見ている。
この種の買い物客はお店の中の右の壁面を1周することで買い物を終える。




そこへ、気になるものが右の棚で見つける。


彼は、おもむろにフリーの右手でつかみとり、カートの中に放り込む。
もちろん、立ち止まらずに。
時間が貴重だから。
彼は歩き続ける。
左手のメモをガン無視しながら。



また気になる製品が目に入る。
もちろん、右手でつかみ、カートに放り込む。



店内を右から1周するころ、彼のカートには気になった製品が山積みとなっている。
それは店の壁面に陳列している製品のオンパレードとなっている。
左手のメモと明らかに異なる製品のオンパレード。
しかし彼は気づかない。




彼はレジに到着する。
支払いのとき、彼は左手のメモに気づき、メモの中身と今まさにレジ打ちされている製品の違いに気づく。



彼の口元が歪む。
どうやら「しまった」と思っているようだ。



しかし、彼はメモを握りつぶし、財布から金を出す。
袋に詰め込み、店を後にする。



彼は何故メモに書かれていた製品を買いに戻らないのであろう?



その理由は二つ。
まず、時間がもったいないからだ。
タイム・イズ・マネー。
それがこの買い物客の心情だ。


そしてもう一つの理由。
メモに書かれていた「買わなければいけないもの」、そして「実際に買ったもの」。
この違いが「楽しい」からだ。
彼の口元の歪みは「しまった」と思ったのではない。
「全然違うじゃん」
「面白くない?」
「てか、面白い」
「やべぇ、爆笑寸前」
「でも笑ったら変人」
「笑いをかみ殺せ」
という流れで歪んだのである。




「時間」と「買い物時の楽しさ」。
これを買い物時に求めるこの購買客タイプ。
2020年、日本はこのような種の買い物客であふれ返っているであろう。



こうすると、店舗経営者は気づく。
「お店の中心部にある棚って意味ないじゃん」
「お店の左側に陳列している商品って売れないジャン」
と。




すると店舗経営者の次の施策はどうなるであろう。




そう、「店舗の巨大化」と「壁面陳列オンリー」といった「店舗の(中心部分の)空洞化」である。
これが現在、欧米の小売店を悩ませている「空洞化」現象である。



さて、筆者の実際の買い出しに戻ろう。
筆者は将来「足長おじさん」と呼ばれる存在なので、歩幅が大きく普通に歩いて時速5km。
でもカートが邪魔なので時速4kmほどで店内を歩く。
気になる製品をカートに放り込み、お目当てのビールケースも放り込む。
レジに立ち、案の定メモに気づく。



本来買わなければいけなかった賞品リスト。
実際にレジに打ち込まれている賞品たち。


誰もが欲しいと思うべき賞品。
筆者の独断と偏見と興味本位でカートに放り込まれた品物たち。


メモに書かれている予算。
レジに出された実際の金額。



気持ちeほどのギャップがそこにはあった。
賞品買いすぎ。
予算ブッチぎりオーバー。



でも、それは筆者の金ではない。
コンペを開催する際の参加者、そしてスポーンサーのお金。



筆者は一言呟いた。
「き、気持ちe-」と。
そして、おもむろに金を支払い、賞品を積み込み、車のエンジンをかけた。



他人の金。
それは無責任という名の買い出しと共に溶けていくもの。



赤字がバレたときの筆者の青い顔を尻目に


一時閉幕。。。