〜キャンドルは燃えているか〜

世界を股にかけるカリスマ・ストーリー・クリエーターこと筆者に出会いが待ち受けている。それも今週末、土曜日の話だ。


それは、世界を股にかけるカリスマ・コケコッコこと3歩歩いたら記憶を失う男、サカツク系の番記者のモデルでもある、通称「宅さん(仮名)」)と土曜日に逢うことになっているのだっ!!


宅さんとまた逢える・・・。そんな想いと宅さんに捧げるトリビュート(鳥ビュードも可)として、世界を股にかけるカリスマこと筆者は、創作系カテゴリーのスピンオフカテゴリーを作ることにした。
このカテゴリーは、以下の縛りを加えたものとする。

① このカテゴリーを書く際は、宅さんやカリスマSEなどの学生時代の仲間連中と会うことが決まり、意気揚々としているときに書く、
② 大好きな劇団(キャラメルボックス)の演目名を拝借し、全く別の物語を書く
③ 想像と妄想で考えずに執筆


という縛りだ。ハッキリ言って、どれだけの駄文になるか、あるいは感動的なお話になるかは未定である。


さて、今回の演目名は「キャンドルは燃えているか」。詳しいリンクはコチラ。
http://www.caramelbox.com/stage/index.html



いつも通り、キャラメルボックスファンの方の怒りを買わないように気をつけているのだが、もし仮にお怒りを喰らったとしても、あえなくスルーするので、そこんとこはご了承頂きたい。


それでは『キャラメルボックス創作系:〜キャンドルは燃えているか〜』いざ開幕。。。





「コンコンっ」
大学が冬休みに入り、3ヶ月ぶりに帰った実家の俺の部屋の窓が優しく叩かれた。



俺の部屋は2階。たぶんブブカでなければノックは出来ない。
しかもブブカが7mジャンプしたところであんなにソフトに叩くわけがない。
となると、窓をノックするのは1人しかいない。




「何っ?」
照れくささを隠しながら、不機嫌そうに窓を開ける俺。もちろん、目の前にはこの前の夏休み以来、会うことができなかった一つ年下の幼馴染、美姫(ミキ、18歳)だ。3ヶ月ぶりとは言え、いつも一緒に遊んでいた幼馴染の美姫の顔を見るのは正直照れくさい。前回会ったときは読んで字の如し「美しい姫」へと成長していた美姫。今回の冬休みの帰省の目的は美姫に逢う事だ、と言っても過言じゃない。



「やっ!元気してた?」
タートルネック姿の美姫が窓辺に頬杖をして笑いかけている。笑うとできるエクボと八重歯がキュートな女性になっていた。・・・自然と視線が泳いでしまう。



「何だよ」照れ隠しに聞く俺。
「べっつにぃ。ただ久しぶりだしサァ。前回帰って来たときは、スッゴクぶっきら棒だったしさ(詳細9月9日号)」
「え?そうだった?」
「そうだよ。『また逢おう!』なんて言って、直ぐ寮に帰っちゃったじゃない」
「あぁ。そうだったっけ?大学生になると忙しいんだよ」
「へぇ、ナンパとか?バイトとか?」
「どっちでもないよ。で、何だよ?」
「ただ、元気してるかな?って思って」
「あぁ。元気だよ。美姫は?」
「うん。元気。・・・寒いね」
「あ、あぁ。」
「ねぇ、そっち行っていい?」
「はっ?」
「竜馬の部屋見るの久しぶりだしぃ」
と言うや否や、美姫は窓から窓へと渡ってきた。



ハラリ。



部屋にいたためか、ミニスカートの下は素足らしい。白い太ももがチョットまぶしく、俺は目を逸らした。



「・・・今、見えた?」
「へっ?」
「今、見てたでしょう」
「な、何言ってんだよ。」
「あぁ、やっだやだ。青年は溜まってるんだネェ」
「お前、何言ってんだよ。突然やってきて、溜まってるも何もないだろ?」
「とにかく寒いよ。窓閉めよっ!」
と言うなり、自分で窓を閉める美姫。


ガラガラ、ピシャリ♪



窓から流れ込んでいた寒い空気が無くなり、静寂が部屋を埋め尽くす。



「で、竜馬。何してたの?」
「あん?ああ。ちょっとボオっとしてた。」
「いいねぇ、大学生は。気が楽で」
「お前こそ、受験勉強で忙しいんじゃないか?もう直ぐだろ?」
「そうなんだけどさぁ。ナンカァ、身が入んなくってぇ」
と俺のベッドに腰掛ける美姫。白い足がやけに眩しい。




「で、竜馬の冬休みの予定は?」
「家でゴロゴロして、休み明けの試験に備えるって感じかな」
「えぇ、何それぇぇぇ!?つまんないのぉ」
「はぁ?」
「だってさぁ、大学生の最初の冬休みだよ?クリパとか初詣とか色々企画物があるでしょ、普通?」
「ナイって、そんなモン。俺、興味ナイし」


嘘だった。本当はサークル仲間からスキーに行こう、と誘いを受けていた。
俺の所属するサークルはインカレのテニスサークル。テニスとは名ばかりの、単純に違う大学の男女が集うイベントを企画しているだけのサークルだった。
通常の日々は彼らと過ごす意味のナイ時間が多く、特に不自由はしていなかったが、「このままでは大学生活が何もナイままで終わってしまう」と感じた俺は、スキー合宿の誘いを断り、実家に帰ってきたわけだった。


「そうなんだ。竜馬ってやっぱネクラだね」
「お前、普通、そこは『真面目』とか言うところじゃない?」
「ハイハイ。ネクラ君の戯言は置いておいて」
と美姫は俺の部屋のビデオを再生する。




「おいっ!」
と急いで美姫の手からリモコンを取り上げようとする俺。
それもそのはず。ビデオの中には先ほど出しっぱなしジャーマンを迎えた場面が残されているからだ。そんなフィニッシュホールドを見られたら何を言われるか分かったモンじゃない。



「何?慌てちゃって。どうせエッチなビデオでも入ってるんでしょ?」
「な、何言ってんだよ」
「何慌ててんのよ。もう、そういう反応されるとこっちが照れちゃうよ」
とリモコンを俺に渡す美姫。そこへ。



「ちょっと竜馬、何騒いでんの?」
「あ、おばさん、こんばんは」
「あら、美姫ちゃん、いらっしゃい。何?早速竜馬に逢いにきたの?」
「ちょ、ちょっと、おばさんっ!」
「竜馬、あんた良かったわネェ。美姫ちゃんったら「竜馬はいつ帰ってくるの?」ってずっと聞いてきてたんだからね」
「おばさんっ!」
「ハイハイ。邪魔者は出て行きましょ。」
と母さんが出て行った。

部屋の中は静寂に包まれていた。




「・・・何だよ、それ。何で俺がいつ帰ってくるか知りたかったんだよ?」
「・・・別に。特に意味なんてないよ」
「そっか・・・。」
「うん・・・。」




二人は顔を見つめあっていた。



正直、ここで告白しなきゃ男がすたる。ここまでくれば美姫が俺に気があることは分かりきったようなもんだ。・・・だが、俺は言うのが怖かった。「告白した後で断られたらどうしよう?」そんなことを考えていると、美姫に自分の想いを告げることができないでいた。







美姫は俺の部屋を見回し始めた。二人の間に会話はナイ。どことなくギコチナク、どことなく心地よい時間が過ぎていく。



ブチッ♪



突然、部屋の明かりが消える。


「竜馬!」
美姫が不安そうに声を上げる。
「あ、あぁ。多分停電だよ。ちょっと待ってて」
と俺は部屋のドアを開ける。廊下も真っ暗だ。


「お袋!どうなってんの?」
「停電っぽいわよ。ちょっと待ってなさい!」
と階下から母親の声が聞こえる。
「だってさ」
と月明かりがこもれる部屋の中の美姫に声をかける。
「そっか・・・」
と美姫が頷く。




「なぁ、お前、受験どこ受けんの?」
「うん?まぁ通るところだったらどこでも良いかなって思って」
「はぁ?何言ってんだよ。折角受験勉強してるんだろ?もっと目的意識もってやれよ!」
「何?突然」
「だってさ・・・」
「そんなこと言っちゃって。ただ竜馬、私が竜馬の大学に入ったら嫌なだけでしょ?」
「何で嫌なんだよ?」
「だって、竜馬のイケテナイ学生生活を見られたくないんでしょ?」
「イケテナイとか決めつけんなって」
「ふぅぅん」




「ほら、竜馬」
と母親がロウソクとお茶を持ってきてくれた。
「あぁ。ありがと」
「じゃぁ美姫ちゃん、ごゆっくり」
「ハァァイ」
とドアを閉める母親。



「何か、誕生日みたいだね」
「そうか?まぁ、お茶飲めよ」
「うん、ありがと」
また二人は無言でいる。



「なぁ、お前さ・・・」
「うん?」
「良かったら、俺の大学来いよ」
「え・・・?」
「そしたら不安ないだろ?俺がいるし」
「ふぅぅん。何、その口説き文句。ちょっとダサイよ」
「はぁ?」
「知ってる、竜馬?ロウソクの火とか線香花火の明かりとかって、男の欲望を燃えさせちゃうんだって。もしかして、欲情しちゃった?」
「な、何言ってんだよ、お前!」
「あ、慌ててる。やっぱそうなんだ!」
「馬鹿言ってんなよ!コッチが折角優しい言葉かけたのに!」
「ハイハイ」
「もう、帰れよ、お前!停電だったらお前の家だって今頃パニック状態だろ?」
「あ、そうかも。じゃぁ一旦帰るよ」
と、美姫は窓を開けた。夜の風が部屋の中に流れ込み、ロウソクの火が消えた。


「もう!消えちゃったじゃんか」
「ねぇ竜馬。」
「うん?」
と俺は美姫の方を見た。



「私の部屋の電気点いてるよ」
「へ・・・?」
「停電じゃなくて、ブレーカーが飛んだだけじゃない?」
「あぁ、何だ、そうか」
「じゃぁまだ居てもいいよね。寒いから閉めるよ!」
と美姫は俺の部屋の居座ることを決めたみたいだ。




「あぁ。じゃぁちょっとお袋に言ってくるよ。ライターも借りないといけないし」
と俺は階下へと足を運んだ。





「・・・母さん。まだブレーカー落としとかなきゃいけないのか?」
「そうよ。だって突然電気が点いたらムード台無しじゃない」
「全く、世話の焼ける子だな」
「でも美姫ちゃんと上手く行くと良いわネェ」
「大体根性がないんだ、アイツは。男たるもの、いざというときは、胸の中にあるくすぶった心に火をつけなきゃいけないんだ。そうだろう、母さん?」
偶然、俺は階下での両親の会話を聞いてしまった。



「親父、お袋。どういうことだ?」
「おお、竜馬。アレか?・・・アレならお父さんの寝室の枕元にあるぞ」
「何照れくさそうに言ってんだよ。じゃなくってさ。何、今の会話?」
「あれよ、竜馬。その、ねぇ、お父さん?」
「あ、あぁ。何かブレーカー落ちちゃったみたいだな。じゃぁ直すとするか」
「大丈夫、お父さん?あぁ、ロウソクに火をつけないと、見えないでしょ。ちょっと待ってて」
と聞かれてはいけない会話を誤魔化すかのように手元のロウソクに火をつける母。



「で、どうしたんだ、竜馬?」
「いや、だから・・・。」
「何だ?」



両親は、美姫に対していつまでも煮え切らない俺の態度を見て、せめてものムードアップに努めたのであろう。虚勢を張る父と誤魔化そうとする母の優しさに触れた俺は、その場を誤魔化すことにした。




「・・・ロウソクが消えちゃってさ」
「じゃぁ、このライター持ってけ」
と父はライターを手渡してくれた。




「まだ時間かかるみたい」
と部屋に帰った俺は美姫に声をかけた。
「ふぅん」
という美姫を尻目に、ライターを使って火をつけようとする俺。
が、ライターに火が点かない。




「おおい、竜馬!」
と階下から父の声が聞こえてくる。
「さっき渡したライターのガスが切れちゃってるんだ」
「あ、そう」
「竜馬!!お前のキャンドルは燃えているか!?」
親父なりの応援なのだろう。何気ない一言に父からの熱い思いが伝わってくる。・・・キャンドルは燃えてはいないけど、俺の心は燃え始めていた。




「・・・何?竜馬のキャンドルって?」
美姫が聞いてくる。


俺は美姫に向かってゆっくりと口を開いた。













一時閉幕。。。