サトルの詩1

これは世界を股にかけるカリスマ・創作家こと筆者が自分を追い込みすぎた結果、書き始めた苦肉の1000%オリジナルな全10話予定のストーリー。現段階で3話までしか書いていないため、いつ終わるか分からないが、取り合えず2月21−23日はこの創作系で行きたいと思ふ。。。




それでは「創作系」サトルの詩、いざ開幕。。。



(舞台に照明が灯り、1人で立ちすくむ少年を映し出している。青年は観客に向かって話しかける)

サトル:僕はこんな暗闇で一体何をしているのか。今日も、明日も、明後日も。来る日も来る日も肉体労働に明け暮れている。まるで労働馬のように。・・・一体、何のために?そして誰のために??・・・僕には分からない。そんな僕だけど、一つだけ分かっていることがある。・・・僕は彼女に逢いに行き、この想いを伝えるために、明日ここから脱出することを考えている。

サトル:突然こんなことを言われて、驚きましたたね?だから僕の自己紹介からさせてください。僕はサトル。1年前までは、男子校に通う16歳の普通の高校生でした。(自分の顔を指差し)外見的には・・・まぁこのレベル。勉強もスポーツもそこそこ。趣味は詩を書くこと。

サトル:僕には父がいません。生まれた時からいなかったんです。去年、母と生き別れました。離れ離れになる際、母さんは僕に「一度で良いから好きな人と時を過ごしてみなさい」って言ったんです。そう、僕は今まで女性とデートすらしたことがない高校生でした。だけど・・・。僕は・・・。意中の女性を見つけました・・・。


(舞台にトシコが登場し、止まる)


サトル:彼女はトシコっていいます。僕と同学年の幼馴染です。高校になってからと言うもの、彼女は女子高に進学し、会話もめっきりなくなりました。でも、今日は僕が彼女を呼び出したんです。・・・えっ?僕とトシコが恋愛関係にあるかって?・・・あるわけないでしょう。だって見てください。(『ふくよか』と呼んでは、世の中の「ふくよか」女性に怒られそうなトモミを指差し)彼女は・・・ああだし。(自分の顔を指差し)僕は・・・この通りの深海魚面だし。


(トシコが動き始める)


トシコ:サトルっ!待った?(既に大量の汗をかいている)

サトル:いや、大丈夫。それで?

トシコ:しっかし暑いネェ。サトルも今日から夏休み?ねぇ、宿題ってどれ位出た?

サトル:あぁ、もう、そんなのどうでもいいよっ!でっ?彼女は??いつ来るの?

トシコ:もう直ぐ待ち合わせの時間。そんな焦んないでよ。

サトル:だってさ・・・。

トシコ:でもビックリしたよ。いっつも文章ばっかり書いてるネクラ君が突然呼び出してくるなんてさ。

サトル:こ、こっちだってビックリしたよ。だってあのコがお前の親友だなんて。

トシコ:アンタが久しぶりに電話してきたと思ったら、『電車の中で可愛い子を見つけた。そしたら私と親しげに話していた。紹介しろ』だなんて。

サトル:あ、あぁ。でもラッキーだったよ。お前が助けてくれるって言ってくれて。

トシコ:(太った面でサトルを睨む)高いよ(と汗を拭く)

サトル:う、うん。上手く行ったらさ

トシコ:焼肉10人前ね。

サトル:え・・・。

トシコ:嘘だよ。5人前で手を打っとくよ。

サトル:・・・(財布の厚みを手で調べている)

トシコ:で?私はどうすれば良いの?

サトル:え?

トシコ:だからぁ。段取りよ、段取り!どうせアンタのことだから、得意の空想の世界でシュミレーションしてきたんでしょ?私は何をすればいいの?

サトル:いや・・・何も考えてない。

トシコ:はぁ?

サトル:(観客に向かい)段取り?段取りって何のこと?・・・僕は正直パニックにおちいりました。今までの会話で分かってもらえたかもしれませんが、トシコが呼び出してくれたおかげで僕が一目惚れしたコがもう直ぐこの場所にやってきます。「逢って会話が出来る」と決まってからと言うもの、僕は食事が咽を通らなければ、なかなか寝付くこともできず、緊張しっぱなし。そして最も大事な「段取り」とやらを用意してこなかった。・・・ねぇ、何か良いアイデアあります?

トシコ:仕方ないなぁ。まぁ突然襲ってきたヤンキーをアンタがなぎ倒す、とか漫画っぽいのを用意されるよりかは良いかもね。私に任せといて!

サトル:任せとけって言われても・・・。

トシコ:何っ!?文句あんの?

サトル:無いけどサァ・・・。

トシコ:何よ?

サトル:5人前だからね。


(とそこへスレンダーな美少女が通りかかる。舞台の照明は彼女を照らす。彼女の歩みがスローになり、やがて止まる。照明はサトルを照らし、サトルは観客に向かって話しかける)

サトル:歌うような足取りで彼女は歩いてきました。一歩、また一歩と彼女が近づく度に僕の心拍数は上がっていく。全てを包み込んでしまいそうな、その大きな瞳。透き通るような薄い唇。風に乗り、シャンプーの香りがしそうな綺麗な髪。抱きしめたら折れてしまうかもしれないほどの細い体。・・・全てが完璧でした。

リカコ:待った?

トシコ:ううん。

リカコ:ねぇ、私、見たい映画決めてきちゃった!「私の中心で貴方が叫ぶ」、どう?

トシコ:それがサァ、リカコ、ゴメン!

リカコ:え、何?

トシコ:何か突然、弟の世話しなきゃならなくなってさ。帰らなきゃいけないことになっち
ゃって。

リカコ:あ、そうなの?残念〜。

トシコ:ゴメンね。さっき突然言われて、リカコに電話したんだけど、もう家を出てたらしくってさ。

リカコ:あ、そうなんだ。悪かったね、ワザワザ出てきてもらって。

サトル:(観客に向かって)聞きました、今の?トシコの無茶苦茶な理由に対して怒らないどころか、謝るなんて・・・。まるで天使だ!!

リカコ:タケシ君だっけ、弟?じゃぁ一緒に子守でもする?

トシコ:え・・・。それよりも、(とサトルを押し出し)彼、サトルって言うの。私の幼馴染。

リカコ:あ、どうも。

サトル:(目を合わす事ができずに)ど、どうも。

トシコ:でね、さっき偶々逢ったんだけどさ、サトルも「ワタチュー」見に行くところだったんだって。1人で。

リカコ:あ、そうなんですかぁ。

サトル:へ?(トシコに小突かれ)え、えぇ。

トシコ:でね、良かったら二人で行ってきなよ。

サトル:(観客に向かって)う、上手い!

リカコ:えっ・・・。でも悪くないですか?

サトル:い、いいえ!

トシコ:男1人で「ワタチュー」見に行くのってちょっと恥ずかしいじゃない?だから一緒に行ってあげてよ。

リカコ:えっ・・・。サトルさんでしたっけ。

サトル:(観客に向かって)もう死んでも良い!「サトルさん」だなんてっ!!。・・・照れるなぁ。

リカコ:トシコの幼馴染なんですよね?

サトル:あ、ハイ。

リカコ:トシコ、だったらサトルさんのことタケシ君も知ってるんでしょ?サトルさんにタケシ君をお願いするのもアリじゃない?

トシコ:そりゃ駄目だよ!ネェ?

サトル:あ、あぁ。ちょ、ちょっと昔からの因縁があってね。

リカコ:因縁?

サトル:あ、うん!そう、因縁!!だからタケシとは仲が悪くってさ、なぁ?

トシコ:そ、そうなのよ!だから私が面倒見なきゃいけなくってさ!まぁ、そんなわけでリカコ、ゴメンね!サトル、じゃ、後はヨロシクね!(とトシコはドタドタと体を揺らしながら走り去っていく)

リカコ:・・・行っちゃった。

サトル:ね、ねぇ。忙しいなぁ、アイツ。・・・め、迷惑でした?

リカコ:え?いいえ。私も見たかったし。「ワタチュー」。サトルさんでしたよね?私リカコです。よろしく。

サトル:え、は、はい!よろしく!!

リカコ:じゃ、行きましょっ!


(とリカコは歩き始め、舞台から消える。サトルだけが舞台に残り、観客に向かって話し始める)


サトル:トシコの無茶苦茶なセットアップで始まった初デート。まぁデートと呼べるかどうかは別として、僕は幸せでした。彼女が「サトルさん」と言ってくれるたびに僕の心は舞い踊りました。「ワタチュー」の内容なんてそっちのけ。僕は映画中、ずっと彼女の横顔を見ていました。いつの間にか、映画「ワタチュー」はクライマックスのシーンになっていました。そして・・・一粒の涙が彼女の頬を濡らしました


(とサトルはポケットから詩を取り出す)


『一粒の涙』
「君の頬を濡らす一粒の涙。君の心が刺激を受けた証だ。君の頬を濡らす一粒の涙。君の心が感動で湧いた。君の頬を濡らす一粒の涙。君が悲しみを溜め込みすぎたからだ。感動の涙は幸せの涙。一粒でいいから毎日見たいな。悲しみの涙は不幸への涙。君の頬からは見たくはないな」


サトル:僕たちは映画の後、「ちょっとだけ」と喫茶店に入りました。映画の感想を話し始める彼女。僕は彼女のめまぐるしく変わる表情をずっと眺めていました。彼女は明るいシーンで思ったこと。悲しいシーンで思ったことを表情豊かに表現していました。そんな彼女を見て僕は・・・彼女にどんどんと惹かれていきました。その日彼女が話したことで思い出せることは・・・。彼女がロマンチック・ムービーが好きなこと、ボーイフレンドがいないこと、でした。彼女にボーイフレンドがいないことを知り、僕は心がときめきました。そして・・・。僕達は友達になることができました。





今後の展開を期待し、
一時閉幕。。。