本屋①


世界を股にかけるカリスマ・マーケターこと筆者は、常々マーケティングモデルやビジネスモデルの変換が必要な事例を捜している。そして、本日久しぶりに見つけてしまった!!マーケティングモデルを変えなければいけないのに、未だに殿様商売をしている業界を!!






・・・そう、それは本屋さんである。








まず、パート①では、本屋さんの現行のビジネスモデルを説明し、本屋さん(あるいは本業界)を取り巻く環境に触れたいと思う。パート②では筆者が仮想である店舗を経営しようと思う。







筆者をラブしてしまっている読者ならばご理解いただけると思うが、筆者がマーケティング編について触れる場合、まずギャグは存在しない。かなり真剣な話になる。よって、ギャグを見たければ違う日の日記を読んでいただきたい。






まず、なぜ突然本屋に寄ったのか?軽い日記程度の報告だが、本日筆者は出張で新幹線を利用することになり、駅構内の本屋で道中の暇つぶしを探していたのである。で、本屋に対して突如むかつきを覚えたので日記を書いているのである。ちなみにこれは筆者がある程度噂と実体験とその他の情報源からまとめたものであるので、事実とは違う(かもしれない)。指摘などは受け付ける気はサラサラないので、異論・反論・オブジェクションは自分の中で消化していただきたい(通常こういう文面に指摘するのは野朗と決まっているので、筆者は野朗の意見は聞く習性を持ち合わせていない)








さて、本屋のビジネスモデル。実は「本屋」という業態は非常にローリスク・薄利多売のビジネスモデルなのである。解説しよう。








まず仕入れ。モノによっても若干違うらしいが、仕入原価は店頭価格の9掛けらしい(週刊誌・ハード本などによって差は生じる)。大量発注しようが少量発注しようが、そこにインセンティブはナイ。
よって、店頭では需要を予測し、見込み発注を行う。見込み違いで売り残ってしまうモノが出る。な、ナンと、これを返品する制度が設けられている。さらにオドロキ桃の木の事実は、返品時の運送コストは卸が持ち、仕入原価と同等の返金を認めている(しかし、返品率を下げると更にボーナス金が発生するとの噂も)。








次に、店頭価格。なんとこれは全国均一。
資本主義・自由競争の中で、存在することが許されていないのが店頭価格の統一。ぶっちゃけた話、カーテルといっても過言ではない。
現在店頭価格が均一なものは非常に少ない。手元にあるもので探してみると:
① タバコ、
② 本・漫画・雑誌・新聞、
③ 圧倒的なブランド力を誇る付加価値品(化粧品やブランド物のバック)
となる。
タバコは政府の介入があるため、カーテルどころの騒ぎではない。
ブランド力が強い付加価値製品は、自分独自の流通網(シャ○ル専門店など)を引いているところがあるので、オープン価格になることはない。価格競争に陥ることがないからだ。
が、本は違う。本には鮮度が存在する。古今東西の名作の本であれば基本的に価値は下がらないが、一発もの(特に映画の元ネタ的な小説)などは鮮度が青魚レベルである。週刊誌は1週間の鮮度しかないし、新聞は朝から夕方までしか鮮度はナイ。にもかかわらず、価格は全国一定なのだ。




まとめると、
店頭売り(100円)=仕入原価(90円)+利益(10円)
となっている。さらに本屋の立場から自らの利益を見ると、
総利益=(売上げ+返品率インセンティブ)ー(固定コスト+運用コスト)
となっている。
つまり、いくら在庫を抱えても、仕入原価は最低でも保障してくれるので、仕入れ周りに関するリスクは、生鮮などの賞味期限があるモノと比較すると、圧倒的に低い。




そのため、利益を上げるための努力としては、(あ)売上げを上げる、(い)微々たる返品インセンティブ獲得に向けて本を売る努力をする、(う)コストの削減、しかない。
(あ)と(い)は同じ活動になってくる(=売上げを上げる=店頭マーケティングを行う)。
さて、一冊売って、たかだか10円しか儲からない商売である。そうなると必然的に薄利多売の商売と化す。ここでマーケティングが出てくるわけである。







が、その説明の前に、本屋さん(あるいは本業界)を取り巻く環境について触れる。ここで言いたいことは、本屋さんは殿様商売をしている、ということだ。







まず、サプライチェーン全体を考えたときに、本屋さんから見た上記のサプライチェーンは消費者起点ではなく、あくまで本屋を起点としている(と言うよりも価格が全国一律の時点で消費者起点ではない)。そのため、サプライチェーンの効率化を業界全体で図る気がない。




ここに楔を入れたのが全国規模の本屋さん。大量発注・大量販売・ノー返品を合言葉にメーカーと直接取引。今まで本屋が獲得することができなかったサプライチェーン上のメリット(とリスク)を享受するようになってきた。ここが変革点の1点目。




続いてインターネットと郵送網の発達。要するに店舗を構えずに欲しい製品を消費者がインターネットでピックアップし、支払いを済ませる。後日自宅に本が届くシステム。これをすることにより、店舗コストの削減と流通コストの削減を実現することになった。





そして古本屋の活性化。結局、本とは新品でなくても良い。その盲点にいち早く気付き、スケールメリットで全国展開する古本屋が続出。品揃え良し、価格が本の汚さに沿っているため、バリュー感が公平、などといった点から、人気は高い。




さらにコンビニの活性化。現在コンビニの経営の中で、雑誌というものはマグネット商材になっている。そしてそこら中にあるコンビニに通うという消費者習慣が出来上がっているため、雑誌の売上げの大きな割合をコンビニが担っている。






最後に現代人の本離れ。インターネット、TV、ゲームなどの普及により、人は本を読まなくなってきている。また、こういった現代人に媚びるような内容の本を書く腐った作家どもの出現で本業界のレベルが下がっているのも事実(あるいは文学を知らない現代人が本書きになってしまうと言う悲劇も事実)。





さて、このような本屋を取り巻く環境の中で、通常の本屋はどのような経営方法を行ってきたのか?



彼らは「腐ったサプライチェーンと店頭価格統一」という甘い汁をグビグビ飲みまくっている。彼らにかかってくるコストは「固定費(例:土地代)+運用コスト(例:バイトの月給)」となる。さて、固定費(例:土地代)と来たらピンっと来るのが筆者ブログの愛用者であろう。




そう、通常の本屋は固定費を費用と思っていない人が多いのだ!




どういうことか?・・・これはつまり、「昔からの地主」であることが多い。要するに自分の土地なわけヤネ。だから土地代=土地にかかる税金という鼻くそくらいのコストでしかない。





そして運用コスト。このコストも地主さまならば分かりやすい。そう、家族経営なのだ!!つまり、運用コスト=タダ(もしくは息子に渡す鼻くそ程度のお小遣い)。






さて、こんな彼らは利益を追求しない。何故ならば、「暇つぶし」で経営を行なっているからだっ!!よって、彼らは「適当に発注し、適当に店頭に並べ、適当に売りさばき、適当に返品する」という腐ったサイクルで経営を回す。






まぁ彼らにカケル言葉はナイ。適当に経営して欲しい。





それでは、次号では仮に「筆者がこのような環境化で本屋の経営をしたら」というお話しをしたいと思う。



一時閉幕。。。