VS痴漢(思い出系)

世界を股にかけるカリスマ・セクシー男優こと筆者はゲイに狙われた。
ブッチャけた話、筆者はもう直ぐ30歳だ。もう直ぐハッピーバースデーだ(プレゼントはいらないぜ!)





もちろん、若かれし頃は痴漢にあったこともある(もちろん、痴漢は男性だ)。
役者として活躍していたときは、オカマ役をやったこともアル(あまりオカマとゲイの違いが分かってない)。


が、29歳も最後になり、またしてもゲイに狙われてしまったのだ。・・・美少年でいる自分に嫌気を指し、夜の校舎、窓ガラスを壊して回った頃を思い出す・・・。




そんなわけで、本号ではVS痴漢(思ひ出系でもある)をお送りし、次号ではバトル系〜VSゲイ〜をお送りしようと思っている。





それではVS痴漢、いざ開幕。。。




「エクスキューズ・ミー。ここ座ってもいいですか?」
と聞いてきた英国の紳士(推定60歳)に対し、若かれしカリスマは
「シュアー」
とブリティッシュアクセントで答える。



時は性癖、もとい、西暦1992年。勉学に励むため単身で英国に渡った若かれしカリスマ(16歳)は、英国から冬休みで帰国するためにロンドン郊外にあるヒースロー空港に向かうため長距離電車に乗っていた。




英国の長距離電車とは中々面白い構造をしている。

窓 席① 席②  通路  席⑤ 席⑥ 窓
    机                机
窓 席③ 席④  通路  席⑦ 席⑧ 窓
(①〜④、⑤〜⑧は向き合っている)



簡単に言うと、J○東海の新幹線のお見合い形式にし、真ん中に大きなテーブルを置いた感じだ。ただし、英国人はデブもいるので、席一つ一つはJ○東海よりもユッタリしている。



さて、この席で問題なのはそのデカイ机なのである。



例えば、席①の人間がトイレに行きたいと思ったら、席②の人は必ず立ち上がらなければならない。あるいは、例えば鉛筆などを落したら、席①〜④の全員で探し出さなければならない。なぜならば、この机、馬鹿でかいだけでなく、固定式なのである。さらに、席①と②を分ける肘掛けという便利なものは存在しない。

よって席①に座り、席②にデブが座ったりした日には、席①の人間はドコにも逃げ出すことは出来ない。長い時間、デブとのスペースの奪い合いバトルが始まってしまう。


さて、筆者は席⑧に座り、久しぶりの日本帰国に向け、高まる胸の鼓動を抑えるため、そして日本語を思い出すために赤○次郎大先生の本を読んでいる。先ほどより対面(席⑥)には英国風のオバちゃんが座り、おもむろにミカンを頬張り始めていた。ロンドンまであと1時間。そろそろお尻が痛くなってきたなぁ、と思いはじめていたそこへ:



「エクスキューズ・ミー。ここ座ってもいいですか?」
と英国の紳士(推定60歳。以後、紳士)が席⑦を指しながら聞いてきた。
「シュアー・サー」
と若かれしカリスマ(16歳。以後、筆者)はブリティッシュアクセントで答える。
(冒頭のやり取り)





紳士:ほう、君は中々英語が上手だねぇ。
筆者:ありがとうございます。実は英国に単身留学をしているんです(Thank you sir; In fact, I study in England。と年上に”Sir”をつけたところが英語が上手い証拠)
紳士:そうか、そうか。で、君はどこの出身かね?




と一通りの自己紹介と世間話や英国人特有の天気の話が一通り終わったあと、
紳士:何を読んでいるんだね?
筆者:母国の本です。母語を思い出さねばいけないので。
紳士:それは邪魔して悪かったね。
筆者:いえ、会話を楽しませていただきました。
紳士:それでは読書を続けてくれたまえ。
筆者:はい
とあくまでジェントルメンな終わり方で会話を終了する二人。もちろん、筆者は(うぜぇぇんだよなぁ。ちょっとは黙れよ。ついでに呼吸止めとけよ。高齢化社会の促進に歯止めってやつ?英国は「ゆりかごから墓場まで」って言うくらい社会の保護がしっかりしてるから、高齢化社会の促進に歯止めしないと国がパンクしちゃうぜ?)
などと考えているのだが、そんなことは言わない若かれし筆者。早くもカリスマなニオイをかもし出している。




さて、紳士に背を向け、窓の外を軽く眺めながら本を開く筆者。自然に本が開いていないと「ウザガラレテイタ」と相手に思わせてしまうためだ。もちろん、紳士も通路に目を向けながらそぅっとカバンに手をかける。彼は新聞を出したようだ。読書を始める若いカリスマ。





ガサッ




おもむろに新聞を大きく広げる紳士。二人の間には肘掛けはないため、新聞の右側を持つ彼の右手は筆者の体の付近に置かれているのだ。



「うぜぇ。見えない境界線でも存在してるんだぜ?次に境界線を越えてきた日にゃ、200海里問題でお前を葬っちゃうぜ?」
と思う筆者。窓に向かって、体をねじるカリスマ。もちろん、ヤング・ジェントルメンこと筆者は、紳士とは反対の方向へ(窓に向かって)足を組む。が、そこは狭い電車の中。対面には英国女性がミカンを頬張り座っている。


そう、スカートを履いたOLが足を組むように、筆者も足を閉じ気味にして窓に向かって足を組んでいるのだ。そのカモシカのような足組をするカリスマ。おもむろに大きく新聞を広げる筆者。対面の女性はミカンを頬張っている。







クスイッ!!





突然、筆者の左モモにコソバユサが走った。そしてくすぐったい、略して「クスイっ」と感じてしまったのである。筆者は我が左モモを見て驚愕し、震撼した。






大きく新聞を広げた紳士の手が筆者のカモシカのような左モモの上を伝って、筆者の若かれし股間に目掛けて移動しているのではないかっ!!




ガーーーーン、ガーーーーン、ガーーーーン。





全英に激震が走った。筆者は今痴漢に逢っている。痴漢を体験している。何も知らないウブな美少年が蹂躙されている・・・。




何も分かってない世間のパンピー男性は痴漢にあった女性が何も言えないで地蔵のように固まるのを見て、
「馬鹿だなぁ。あんなの手首をつかんで大声で叫べば良いんだよ」
と強がって言っている。が、それどころではないのだ。
驚きと恐怖。震撼と心肝。そんなこんなが悶々と気持ちを駆り立て、何も出来ないのだ。被害者はっ!!




あっという間に、紳士の右手は筆者の股間に到達する。




そうはさせるかっ!



勇敢な美少年戦士が立ち上がった。そう、筆者だ。この暴君ハバネロ紳士を止めるため、筆者は反撃に出た。







必殺「本を置く!!」

奴の暴君を止めるため、奴の右手と我が股間の間に赤○次郎先生の本を置き、暗に拒否していることをコミュニケートする。






が、しかし、紳士の攻撃は止まらない。



バシっ!!コロォォォン、コロォォン、コロォン・・・。



音を立て、無常にも赤川○朗先生の本は床へと落ちていく。



紳士:ウップス(訳:おっと)。すまないねぇ。
とこの期に及んで紳士は紳士的に謝罪をかます



てんめぇ、自分で叩き落としておいて、「すまないねぇ」だとぉ?コンニャロメ、ぶっ殺してやろうか?
と筆者の目はその心に燃え滾る殺意を映し出す。が、痴漢に合っている最中の被害者こと筆者は、




「いいえ・・・」
と目を伏せ、答えてしまう。




そう、痴漢と言う世にも不思議な現象を体験してしまい、筆者のマインドはテンパっているのである。



紳士:拾おうか?
筆者:(目を伏せながら)いいえ、自分で・・・
と答え、赤川次○先生の本を眼で探す筆者。





ハッ!!



先生の本は、な、何と紳士の足元側に落ちている。この狭い空間でその本を拾おうとすると、
「筆者の顔は紳士の股間のそばを通らねばならない」
という、車内で尺八大サービスのような格好になってしまうのだ。トコトンイケテイナイ英国の長距離電車の構造!!



なんとか足で本を手繰り寄せ、本をとることに成功した筆者。既に全身汁ダク、もとい汗ダクである。筆者が落ち着いたのを見た紳士は






再度筆者の左太ももを攻め始める。



人間、馬鹿であってはイケナイ。一度犯した失敗は2度も起こしてはならない。よって、筆者も防御策をより高いレベルに持ち上げる。




ガシっ!!



筆者の体は窓(右方向)を向いている。なのに手は左足の上。つまり、新聞を大きく広げ、筆者の股間までおもその紙面で隠し、右手で痴漢行為をしようとする紳士と筆者の壮絶なバトルである。







筆者の顔を汗が流れる。声に出せない恐怖、異国の地での痴漢との戦い(しかも爺)。心底疲労している筆者は対面の英国風叔母さんに助けを求める視線を送る。




「叔母さん、助けてくれよ・・・。今助けてくれたらミカンを死ぬほどプレゼントしてあげても良いよ・・・。」と。





しかし、そのおばさんは筆者と紳士の攻防を目の当たりにしているにもかかわらず、全英が、いやむしろ、全世界が震撼する言葉を吐いた。






「トム、あと10分でロンドンに着くわよ」と。



一応言っておくが、筆者の本名はトムではない。顔はトムクルーズにクリソツだが、名前は似て異なる名前だ。




「あぁ、分かったよ。もう直ぐ何とかなるよ」
と口を開く紳士。






あ、貴方達、共犯ですか・・・。「分かってるよ」ぢゃなくて、「何とかなるよ」ですか?どう、「何とかなる」んですか?この先、オイラをどのような恐怖が待ち受けているんですか?遠路はるばる帝王学を習得するために英国に渡った黄色いサルこと僕ちゃんを夫婦で羞恥プレイですか。。。






全ては汚い大人たちが仕組んだ罠だったのだ。おのれ、トム!おのれ、ミカン婆!!
この恨みはらさでおくべきかっ!!


と逆襲の王者シャァ・アズナブルこと筆者が怒鳴りだす瞬間、「まもなくぅぅぅ、ロンドン、ロンドン。愉快なロンドン、楽しいロンドンでござぁぁいぃ」と車掌のアナウンスが流れる(注:筆者の耳には確かにそのように聞こえた)。


ミカン婆:トム、行くわよ
紳士(ことトム):あぁ。(筆者に向かって)それでは、良い旅を!
と握手を求めてきた。



握力200kgを越えるカリスマ的握力を持つ筆者。最後のチャンスである。この爺の手を全力で握り締め、右手を粉砕するのだっ!



おもむろに手を握ろうとする筆者。しかし、紳士は筆者の指先だけを握る、例のホモやゲイやオカマがする握手をし、その場を去る。




まさか、本物の痴漢に逢うとは・・・。そして、標的にされ、地蔵のように声を出せず、最後まで羞恥プレイに追いやられるとは・・・。




筆者VS痴漢。
0勝1敗なり。。。




こんな思い、2度とするもんか、と思いつつ
一時閉幕。。。