VSゲイ

「次回の集いは日本でやりますっ!」
イケテナイMCが高々と宣言した2年前。世界を股にかけるカリスマの勤める会社はアジア中に拠点を持っている。よって部署もアジア中に拠点をもっており、2年ごとに部署の集いを行なっている。ちなみに、2年前の集いはタイにて行なわれた。そして2年後の今年。。。








ホスト国となった日本は、筆者のカリスマ的なリーダーシップのもと、集いを進めていく。2年に一度しか逢わない、アジアの部署の仲間達。国籍も様々であれば、名前も様々。はっきり言ってアジア人の名前は名前ではない。ブッチャケタ話、濁音だろうがそうでなかろうが、筆者にとってはそれは名前ではないのだからどっちでもいいのだが、そこはアジア人、自分の名前になぜか強い誇りを持っている。そしてカレーにも。









そんな中、グローバルなコミュニケーションスキルを持つカリスマはホスト国のホストとして、アジア人どもに優しく微笑みかけ、握手を交わし、友達の輪を広げていく。






やぁ、俺は筆者。今回はホスト国だから、わからないことがあったら何でも聞いてくれ。
私はxx。yyの仕事をしてるの。
そうか。xx。始めまして。どの国からきたの?
zzかなぁ。
そうか。日本を楽しんでくれ。


などと言った、日常会話である。









そんな折、
「やぁ、俺は筆者。今回はホスト国だから、わからないことがあったら何でも聞いてくれ。」
とペベ(仮名)と握手する筆者。
「ペベ、どこから来たんだ?」
「タイから」
「ほぉ、そうか。アレっ?確か2年前にも逢ってるよな?(もちろん、適当)」
「いや。僕はこの部署に来たのは8ヶ月前だから、それはないと思うよ」
「そうか。それはすまなかった」
と侘びを述べ、再度握手する筆者。しかし、この際、筆者は気付いていなかった。ペベの握手は例のオホモな握手(指先だけで握手をするやり方)であったことを・・・











その日は午前から部署の中級〜上級メンバーが募ってクラスルーム形式のトレーニングであった。いくつかのグループに別れ、筆者は中央のテーブルにつく。テーブルディスカッションを含めたトレーニングのため、教壇に背を向ける生徒も何人か存在してしまう。よって、通常であれば、


教壇からレッスンーー>教壇へ席を向ける
テーブルディスカッションーー>テーブルへ席を180度回転させ、ディスカッションを行なう


が普通。が、先ほどのペベは斜め後ろに座っている、筆者に体を向けている。まぁ、タイ人とはそうやって教壇のはなしを聞くのかなぁ、と理解する筆者。











が、ペベの視線は明らかに筆者を追っている。しかし、ペベの視線からして、筆者を通り越すと、日本で一番綺麗とされている筆者の先輩Cさんが座っている。なるほど、Cさんを見ているのね・・・。と理解する筆者。
うんうん。Cさん超可愛いよね。アジアに通用する美人ことCさん(もちろん、筆者は世界レベルのため、Cさんなど筆者の足元にも及ばないが、それは股別の話)をもっと見せてやるよ、と思い、ペベがCさんをよく見えるように席をずらしてやる。「俺、邪魔者っすよね・・・」と。










しかし、だ。

ペベの目は筆者のずれた姿を追いかけている?


筆者のコンピュータがバグを起こす。ホワイ、ハワイ、ワイキキ?



筆者は、今一度席を元の場所に戻してみる。そう、ペベの視線を確認するためだ。











ピピピッ。


ペベの視線が音を立てる。


ろ、ロックオンっすか?



奴の視線は筆者にロックオンしている。これはどうやら逃げられないらしい。










レーニング後、何人かの外国人が筆者に声をかける。
「なぁなぁ、筆者。日本のお土産を買いたいんだが、どこで買ったらいい?」
「なぁなぁ、日本の家電用品店はどこにある?」

ガイドブックを持ってこずに異国の地に足を踏み入れるアジア人どもに殺意を抱きながらも一人一人相手していくホスト国代表こと筆者。が、ペベ(仮名)の質問は他者とは違った。











「なぁなぁ、筆者。今夜何してる?」



へっ??


えぇぇぇっと。
筆者は、結婚しています!
筆者は、女性が大好きです!
筆者は、同性愛者の存在を大きく認めています。ただし、筆者に迷惑をかけないことが大前提です!!











同性愛者とは、限りないチャンスをモノにしなければならない。
ザックリと計算すると、全人口の半分が異性。よってストレートな恋愛主義者の場合、自分のターゲットは全人口の約半分。あるいは、人生で出会う人の約半分がターゲットとなる。

が、同性愛者の場合、多く見積もっても約半分の同性の更に1割でしかない。つまり、全人口のたったの5%しかターゲットがいない。あるいは、人生で出会う人のたったの5%しかターゲットにならない。











よって、同性愛者の場合、嗅覚が非常に優れるようになると言う。
よくあるTVの1シーンだと、男性ゲイの人間が道端の男性を見て、「うぅぅん、彼は同性愛者ね」とか、「彼は、ああ見えても下半身に自信がないわよ」とか、「彼は、ロリコンね」とか、「彼はマザコンよ」などなど。

つまり、同性愛者は嗅覚が優れてなければ成り立たない商売(?)なのだ。
また、彼ら(彼女ら)は、ネットワークに優れている。要するに、数少ない(であろう)パートナーシップを作るのにあたり、グループを形成するのだ。






にも関わらず、だ。
なぜ、筆者をターゲットとするのか?なぜ筆者をロックオンするのか?





100歩譲って、美青年に見とれていたのだとしよう。そこまでは許す。





しかし、だ。




なぜ「筆者の今夜の予定」をヒアリングする気になるのだっ!?




筆者は怒りの魔人と化す。そう、自分に危害を加えるゲイは絶対に許さない、幼少時代の辛い思ひ出(前号参照)があるからだ。




怒りのメガトンパンチを炸裂する瞬間、筆者の日本の同僚(女性)が話しかけてくる。
「筆者君、狙われてない?」
「筆者君、大丈夫?」
「筆者君、ソッチなの?」











イケテナイ魍魎、もとい同僚どもがワラワラとネタ探しにやってくる。
普段、オフィスでは全く女性と会話を交わさないクールメンこと筆者にココゾとばかりに話しかけてくる女性ども。が、筆者としても悪い気はしない。

何故ならば・・・。









筆者は今、ネタになっている


という快感を寄せられたからだ。









カ・イ・カ・ン。
一瞬「時をかける少女(間違ってる)」の薬師○ピロコと化した筆者。
が、ここである方程式に気がついた。








ゲイ=女性の友達が多い
筆者=現在女性に囲まれている

筆者=ゲイ

という三段論法のような方程式。ペベもその方程式を成立させたに違いない。











結局、ペベのアプローチを丁寧に流し、1週間が終わる。が、彼の中での方程式
筆者=ゲイ
は覆すことはできなかった。もちろん、世界を股にかけるカリスマ・ジェントルメンこと筆者は、その怒りのメガトンパンチも発射することが出来なかった。










結局(南極大冒険)、筆者は我が身と貞操は守ることは出来たが、ゲイをコテンパンにやっつけることは出来なかった。



筆者VSゲイ。
0勝1敗(前号を含めると、0勝2敗)なり。。。




こんな思い、2度とするもんか、と思いつつ
一時閉幕。。。