初マイホーム

「いいか、筆者。お前は、大きくなったら世界を股にかけるカリスマとなるであろう。・・・そんなお前に伝えたいことが3つある」




世界を股にかけるカリスマこと筆者がリスペクトして止まないダンディ・オブ・ダンディこと筆者の父。彼が、幼少時代の筆者に口酸っぱく言い続けた3条とは以下の通りである。








男たるもの、女子に手を出すな。
男たるもの、有限実行を。
男たるもの、自分を追い込むためにも口に出せ。(裏読みすると、非常に深いコメント)







そして1987年には第4条が加わった。





男たるもの、付けてからしろ。









性教育にかけてはぶっ飛んでいたマイ・ダディ。第4条が加わえた時には、人参をアレに見立て、それにアレを被せて12歳のカリスマに性教育を施す始末であった。




そんなダンディが生涯で一番大きな買い物をした。
そう、マイホームの購入。「東京都内」と呼ぶことすらヘジテーションしてしまう最果ての地にチョボイ一戸建てを購入。当時、ダンディは33歳、カリスマ6歳。自称「ファッション業界のカリスマ」として小汚い脂に乗っていたダンディは、33歳で1戸立てをゲッチューしたのである。
そこで本日は、思ひ出系としてマイダディがマイホームを購入したときのうろ覚え話をしたいと思う。
(・・・以上長い前フリ終了)



それでは思ひ出系「初マイホーム」、いざ開幕。。。





「よし、お前ら、どっちかの部屋を好きな方を選べ!!」



ダンディが8歳の雌イヌ(姉)と6歳のプチ・カリスマ(筆者)に命じた。傍らには彼の妻(母)と呼ばれる雌ブタがダンディをウットリと見つめている。
「ブヒっ。パパ、これで私たちもマイホーム・オーナーね。ブヒっ」
と泣き叫ぶ雌ブタの声を尻目に、姉と呼ばれる雌イヌと若かれしカリスマは2つの部屋を見比べる。




この家の2階には寝室用の部屋が3つ。





1番目の部屋。元和室を洋室風にリフォームした部屋。6畳で南向きにベランダと1畳分の押入れ付き。西にも窓はあるが、隣の家の窓が1mのところにある。南の窓は2階立てのため覗かれる心配がある。入り口はスライド式のドアで階段から直ぐの部屋で正方形。




2番目の部屋。1つ目の部屋から1m廊下を進むと現れる長方形5.5畳の部屋。東に窓があるが、隣の家から1m。北にも窓はあるが、裏は駐車場で、すりガラス。ドアは普通のドアで鍵が付く。日差しと収納スペースに難アリ。




3番目の部屋。2番目の部屋の隣で1番奥の部屋。6畳で収納庫付き。南向き。ここが夫婦の寝室としてダンディと雌ブタによって確保された。






「筆者、アタチがお姉ちゃんなんだから、アタチが選ぶっ!」
「ほう、そう来たか。まぁ取りあえず君の好みの部屋を言いたまえ。仮に私の好みと重複したら、その時に相談しようではないか・・・」




何故か『姉である自分に選ぶ権利がある』と理解したらしい雌イヌこと姉(と呼ばれる女性)。二つの部屋をじっくりと吟味している。世界が丸いためか、全てのモノゴトを丸く治めることを生業としている筆者、もちろん、狙いは1番目の部屋である。なんていったって、押入れとベランダは美味しすぎる。



「いや、っていうか、希望が被ったらジャンケンになるに決まってるじゃん・・・」
「ダンディと雌ブタの顔を見れば、奴らがアンタを2個目の部屋に入れたがっているのバレバレやん(注:将来的に覗きをされるのを警戒しているご様子)」
「さっさと選べや。俺、タバコ吸いたいし・・・」



と、カリスマは思っていた(6歳児のため多少現実とのギャップあり)。




ここで雌イヌこと筆者の姉(1987年時)について軽く説明しよう。
容姿:黒い。テンパ。ワカメちゃんのごとくスカートを好み、ワカメちゃんのようにカボチャパンツを見せ付ける。
習性:自分を姉と信じ、「弟の物は私の物。私の物は私の物」とジャイアンのような考え方を持つ。
IQ:2〜3.かろうじて言葉を発することが出来る。会話は成立しない。



よってカリスマの目的および戦略は決まった。
目的:1番目の部屋をゲットする(広さ、日差し、ベランダ、収納スペース、防音(両親の部屋から遠い)などどの点においても圧倒的勝利のため)。
戦略:雌イヌが自発的に2番目の部屋をゲットするように導く。
時系列プラン:①2番目の部屋獲得=勝者の部屋と表向きには位置づける、②2番目の部屋を欲しそうにする、③後腐れないカタチで1番目の部屋をゲットする





筆者「この部屋(2番目の北向きの部屋)にしようかなぁ。鍵がかかるし・・・。ここにアレ置いて、ここにアレを置こうかなぁ。いいなぁ、夢のような秘密の生活だぁ」
雌イヌ「ふぅぅん。でもアタチならばアレはここに置いて、アレをここに置くわっ!!で、カギかけて、秘密のお城を作るの!!」
筆者「へぇ(聞いていない)。コッチの部屋(1番目の押入れ付き6畳、ベランダ付きの南向き。大本命の部屋)だと明るすぎるし、押入れから何が出てくるか分からないし、怖いなぁ。鍵かからないし。それに向かいの部屋から丸見えだよ」
雌イヌ「そうね。でもベランダは捨て難いわね。アタチ、こっちにしようかしら。筆者もアッチ(2番目の部屋)方が良いって言ってるし」
筆者「(少し慌てながら)そうしようよ!!コッチの部屋だと雌ブタが押入れとかに荷物入れたり、ベランダに洗濯物を干しに来たりするから、僕、嫌だし。僕にはプライバシーが必要だ。鍵がかかる部屋が欲しいしねっ!」
雌イヌ「ちょっと、何でアンタが決めんのよ!アタチが決めるって言ったじゃないのよ!(筆者の言っていた雌ブタ乱入の話を噛み砕き、ようやく理解した模様)・・・決めた。アタチこっち(2番目の部屋)にするっ!(雌ブタに向かって)ママ、アタチこっちにするっ!」
ダンディ「筆者、それでいいのか?」
筆者「仕方がないよ、お姉ちゃんがそう言うならば・・・。じゃぁ僕コッチ(1つ目の部屋)にするよ・・・」
雌ブタ「そう、よかったわぁ。私たちもそうすれば良いのに、って思っていたのよ。パパ、今夜は焼肉に行きましょう!」
雌イヌ「焼肉ぅぅぅ!!やったぁ!!」



偶然にも筆者という天才かつカリスマな人間の姉として生まれてきてしまった運命を呪いたまへ・・・。



その後、筆者は引き戸にツッカエ棒を仕込み鍵不在問題をクリアしたり、押入れを改造しベッドにしたり、ベランダに不思議な植物(合法物)を育てたり、隣の家の子の家に窓から忍び込んだり(幼馴染の一つ下の男友達)、と我が部屋を改造し、部屋ライフを謳歌しまくった。この間、雌イヌは我が部屋の暗さを呪い、非行に走り、15歳で実家を飛び出したのは言うまでもない・・・(マジ話)。




子どもにそのような思いをさせたマイ・ダディ。そんな彼にリスペクトしつつ、


一時閉幕。。。