筆者オーナー⑦オーナー転生!?

「高原!!高原はどこだ!」
世界を股にかけるカリスマ・オーナーこと筆者オーナーは生唾グビグビ物の秘書こと日比野に向かい、怒鳴り散らしていた。


ちなみに本日のお話し、PS2のソフト「サッカーチームを作ろう‘04」(略してサカつく)にまつわるお話しのため、その事情を知っていると面白いかもしれないが、知らない人でも何とか笑えるようにしたいが無理であった(と自己反省)。そのために予備知識のコーナーおよび呼び飛ばし可のコーナーを用意した。


予備知識のコーナー(読み飛ばし可)
チーム名:キッズ神戸
ビジョン:『神戸および世界の子どもに夢を与えること』
マスコミ・サポーター用スローガン:『頑張ろうぜ!神戸』
チーム内スローガン:『いつでも成長・いつでも反省』
原則:
選択と集中の原理に基づく投資展開。
②神戸の子どもを起点とした活動。
戦略:キッズ神戸を日本のレアルマドリッド(あるいは読売巨○軍)となる。
戦術:
①選手・監督・スタッフの完膚なきまでの高い満足度とその維持(満足度が高い奴ほどパフォーマンスが高いと想定)
②地域へのボランティア活動の義務化。
③その他サポーターへの献身的な活動。

キッズ神戸の現状(61年目)。オーナー:筆者。
チームメンバー合計25名(外人枠5枠)。
それ以外の情報:本日のカキ物にて紹介。

(以上読み飛ばし部分終了)

前振りが終わったところで、いざ開幕。。。



「オーナー、お呼びで?」
とオーナー室に入ってきたのは10数年もキッズ神戸の監督を行なっている高原だった。
「おぉ、高ちゃん。入れ入れ」
「どうしました?」
「ふふふ。高ちゃん。実はな、私は君に内緒で革新的なことを進めていたのだ。その革新プランを本日教えようと思ってな」
「はぁ」
(またかよ・・・と高原は思った。先日呼び出されたとき、別れを告げられたにもかかわらず、未だ監督として自分を拘束するオーナー。最近では意味不明な補強が続いているオーナー。今日の話はそれらに関係しているのであろうか?)



「聞きたいか?聞きたいのか?」
「えぇ。まぁ」
「何だ。不満そうだな」
「いえ、別に・・・」
「高原、お前の考えていることはよく分かっているつもりだ。お前の不満は①なぜ自分がいつまでも監督をしているのか、②最近の補強、についてだろう?」
「え・・・」
「誤魔化しても顔に出ているぞ!!私はトチ狂ったわけじゃない。全ては、革新プランの元、行なっているのだ。そのプランをお前に告げようと思っているんだ。どうだ、聞きたいか?」
「え、えぇ。」
「その前に一つ質問させてくれ。高ちゃん、最近の補強についてどう思う?」
「最近の補強と言いますと、FWの大久保(引退後即転生を即ゲット)、SMFのデュキャナン(転生をゲット)。そして片桐、水沼、内海(全員架空プレーヤーでルーキードラフトにて2億で落札)のことですね?」
「そうだ!」
「まず大久保(19歳)に関しては、若干時期が早い気がします。と言いますのは、エレ(神)が30歳、ルンゲ(屈指)が23歳。中山(完全)が25歳。世代交代をエレルンゲと考えれば、早熟系の大久保は早い気がしますね。デュキャナン(22歳)は妥当かと思います。サントス(神)が29歳となってますので、じっくり育成すれば良いのではないでしょうか?そしてデュキャナンが神になったときは、サントスをリリースすれば良いのでは?」
「その通りだ。確かに大久保は早かったな。が、年俸も安く早熟ということを活かし、エレルンゲ大久保のサイクルを早めることが可能だ。まだまだ読みが甘いのぅ、高ちゃん。」
「・・・まぁそうかもしれません。が、しかし。私が気になるのは、片桐、水沼、内海の架空トリオです!まず、DMFの片桐の枠ですが、小野、明神、名波、服部、稲本という若い人材で神や屈指レベルがウヨウヨいる。その上OMFの奥大介、CDFに転身した中田浩二や遠藤もいますし、バウアーもいるのでDMFは全くと言っていいほど枠は空いていません!何故2億もかけて取ったのか?という根本的な質問になってしまいます!そしてFWの水沼と内海もそうです!先ほど話しに上がりましたエレ、ルンゲ、中山、大久保と世代交代を踏まえた人材がいるなかで、何故獲得したのですか??」
「ふんふん。まだ胸の中にモノを持っているな。吐き出せや、高ちゃん」




「・・・ではお言葉に甘えて。」
と高原は今まで不思議に思えていた現象について触れることにした。




「前回オーナーと話したとき(注:11月7日号参照)にはチームに存在していた選手が引退なくしてチームから消え去っています!この神隠しのような現状をどう思われているのですか?」
「大久保(最近外国に移籍した難波のストライカー)、フリードリッヒ(連携抜群のポストプレーヤー)、柳沢(カリスマSEに似ているチャンスメーカー)、勝浦(ゲームオリジナルキャラ)、立浪(ゲームオリジナルの右サイド)、ギグス(左のウィング)、与田(ゲームオリジナル)、戸田(ファール多そうなミッドフィルダー)源(プリンス・源)、宮本(バットマン、もしくはSM大王)、森岡(Jリーガー)、横村(ゲームオリジナルキャラ)のことだな?」
「えぇ。誰も引退していない!柳沢&大久保コンビがいれば、今頃はスタメンを張っているはず。フリや戸田、ギグスは神レベルでしたし。はっきり言って不思議です・・・」




「ははははっは」
「オ、オーナー・・・?」
「いいか、高原!不思議に思ったことがあれば聞きに来い!なぜ不思議を不思議と思ったまま生き続けるんだ?そんなもんか、お前の人生は!?」
「・・・?」
「いいか、高原!この2年間、私は密かに革新的なことを行なってきたのだ!お前の質問は全てその革新的なプランが答えてくれる!!」
「革新的な・・・プラン・・・?」




「そうだ!!キッズ神戸の兄弟チームを東京で作っていたのだ!」
「キッズ神戸の兄弟チーム・・・?」
「そう、それが『東京カリスマーズ』だっ!!」
「東京カリスマーズ・・・?」
「そうだ!!まず、東京カリスマーズ発足の去年、キッズからは与田とフリードリッヒ、森岡そして横村を東京カリスマーズに差し出した!代わりに東京カリスマーズから4選手、お前も名前すら覚えていない選手が入団しただろう?」
「あぁ、オーナーが入団した瞬間に解雇にしたあの4選手ですか・・・」
「そうだ!そして神レベルのフリードリッヒと森岡、屈指レベルの与田と横村の活躍で東京カリスマーズは発足初年度にJ2を優勝し、J1昇格を果たした!しかもノーリセットで、だ!!」
「な、何と・・・。それではフリードリッヒや与田はカリスマーズで元気にやっているんですね・・・。良かった・・・。」
「ウツケめ!早とちりするな!!所詮フリや与田は捨て駒じゃっ!」
「な、何と・・・」
「発足ホヤホヤのカリスマーズは資金難で喘いでいる。キッズの潤沢な金を渡すことはさすがに出来ないらしい。よって契約金の高いフリや与田はその年にクビになってしまった。森岡は一度キッズにトレードしなおし、カリスマーズへ再トレードしなおした。こうすることで年俸を払わないで済むことを発見したからな・・・」
「しかし、オーナー。トレードをする度に選手は1歳年齢を重ねてしまう。キッズからカリスマーズへ、そしてキッズへ送り返され、またカリスマーズへと戻される。つまり、森岡は1瞬で3歳も年を重ねたことになってしまうではないですか!」
「そうなんだ。そんな盲点が存在していたとは・・・と森岡でテストしてから分かったのだ。クロノスと言う名の時の神に刃向かった罰であろうな・・・。よって引退が近いフリードリッヒではその戦法ができなかったのでクビにした。与田はトレードポイントが合う人材がキッズにいなかったのであえてクビにた。奴のことだから今頃はヤケザケでもあおっていることだろう・・・。よって年俸の安い横村だけは契約を交わしている」
「・・・・」



「そして昨年だ。全日本クラスのDMFがキッズに増員されたことを気に、戸田と源をトレードに出した。そして、勝浦と立浪、ギグスも。こうすることでカリスマーズは、中盤の守りを戸田と源で、両ウィングのギグスと立浪がクロスを上げ、勝浦で落し、ルーキーストライカーに入れさせ、ルーキーストライカーを育成することができると思っていた。もちろん、ルーキーながらJ1の得点王を作り上げようと考えていたのだ。が、しかし。想定外の出来事が生じた・・・。」
「ま、まさか・・・」
「そうだ。キッズの柳沢、大久保、宮本が突然『引退したい』と言い始めた。止めようにも止めることができなかった。幸いにもキッズは先ほどのフォワード陣や中西・遠藤・中田浩二・バウアー・松田といったCDF陣も若い人材で溢れていた。そこで、カリスマーズへのトレードを行なったわけだ。」
「そ、そんな・・・」
「と言ったわけでカリスマーズのスタメンは、勝浦、大久保、柳、ギグス、立浪、源、戸田、宮本、森岡、そして横村・・・。つまり、カリスマーズのスタメンではCDF1人以外は皆キッズ出身なんだよ・・・」
「そ、そんな馬鹿な・・・。2年目と言えば補正も効いていない時期。そんな神や屈指ばかりがゴロゴロしているチームでは・・・。」
「あぁ。圧倒的な勝利をいつも楽しんでいるよ。が、カリスマーズの来期は暗い。何故ならば、年俸10億円のギグスと立浪のクビチョンパは決まっている。源と戸田は先日引退を宣言した。年俸の低い勝浦の契約は固いが大久保・柳・宮本・森岡の契約が微妙だ。経済力的にはその中の2人と契約し、2人はクビにしなければならない。といったわけで、キッズでの補強がDMFとフォワードになったのだ!それが、片桐、水沼、内海の3人だ!彼らを5年かけて育て上げ、2回留学させた後、カリスマーズへとトレードすることを考えている。所詮、ゲームはゲーム。何もキッズを5年動かしている間にカリスマーズが5年動かさなければいけないわけではない。カリスマーズは動かさず、キッズのみを動かそうと思っているのだ!!」
「な、何と・・・」
「分かるか、高原っ!今や選手が転生する時代!オーナーも転生しないでどうする!!」




(それが本音か・・・)
高原はオーナーの本音を聞きだしたように思った。20代後半でオーナーとなり、瞬く間にチームの経営を黒字化し、時の人となったカリスマ。が、このごろは4000億を越える巨大なキャッシュフローにやる気を失いつつある、と言うことはヒシヒシと感じることが出来ていた。チーム経営が60年を越え、裕福な老人の目指すもの。それは「若さ」なのであろう。




「いいか、高原!!私の中でのキッズの位置づけが変わってきている!キッズはカリスマーズへの種馬だ!!素質ある素材(選手)をいかに美味しく料理するか。そして料理された素材(=選手)は、カリスマーズで食すとする!キッズの位置づけはそんなもんだ!!」
「そしてそのチームの舵を握るのが・・・」
「お前じゃっ!!お前は新人の能力を高める技術がある!よって、お前の監督人生はまだまだ続くのじゃ!!分かったか、高原!」
「はい・・・。」
「ただし、今回の件、他言は無用じゃ。キッズというチームはあくまで・・・」


とオーナーはその視線を壁に移す。そこに書いてある言葉は



ビジョン:『神戸および世界の子どもに夢を与えること』
マスコミ・サポーター用スローガン:『頑張ろうぜ!神戸』
チーム内スローガン:『いつでも成長・いつでも反省』


「分かったな、高原。私は本音でお前に話した。だからお前も本音で私に話して欲しい・・・。ただ、忘れないでくれ。お前のような60歳間近のロートルを年俸3億円で雇っているのは誰かということを・・・」





高原は悩んだ。転生し、現役のストライカーとしてバリバリ働くか。あるいはあと数年。オーナーの本音も聞いたこのチームで、「料理人」という裏の顔を持つ監督として、老後の生活を豊かなものにするか。




現役へのコダワリは捨てられない。が、オーナーのことだ。転生した自分を直ぐに獲得し、育て上げ、カリスマーズへと送り込むに違いない。転生し、素材の一つとして、オーナーの新しい野望に巻き込まれるのか。あるいは、オーナーの野望を理解したうえで、我が身の老後を保護するのか・・・。





高原はユックリと口を開いた。







「分かりました・・・。男、高原、オーナーについていきます!片桐、水沼、内海を育て上げることをお約束します・・・」
「ありがとう、高ちゃん。やっぱり高ちゃんには本音トークが一番だなぁ。これからもよろしくな。グワハハハハ。」




頭を下げ、退室する高原をカメラは追いかけ、エンドロールを流していく。。。



一時閉幕。。。