想定範囲外編

これは、世界を股にかけるカリスマ・バーテンダーこと筆者のブッチギリな妄想ストーリー。
本来であれば、「オレ様VSチビ:ラウンド1」を紹介すべき日なのだが、ネタが浮かんだので想定範囲外な行動に出た筆者の暴挙と考えていただきたい。



さて、本作は、噂ではL社に勤めたはずの96年ステージディレクという名の職業についたMKT氏とその妻こと冷鬼、いやむしろS氏の妹(ラブリーエラード(✿ฺ´∀`✿ฺ)ノ )に捧げたいと思っている。


ちなみにこのラブリーエラードとは、筆者の自宅電話に貼ってある写真に写りこんでいる女性だ。数年前、筆者は元カノの1人から「誕生日オメデトウメール」を頂いた。このメールが、妻と呼ばれる女性にバレ、「誰?」と牙を剥き出して聞いてきたことがあった。筆者は、思わず無実で関係のない、可愛い後輩のラブリーエラードのせいにしてみたことがある(もちろん、その後、妻と呼ばれる女性にはバレて激しい口喧嘩へと発展したことは言うまでもない)。



さて、話を戻そう。このカテゴリーの縛りは(あ)思いつくまま創作&執筆。(い)読み返さない。(う)社会的な問題をお題とする、となっている。このBar「カリスマ」とは夜の街に現れ、困っている人を助ける(?)、都会という名の砂漠のオアシス。そんな都会の蜃気楼に迷い込んだお客さんの体験談となっている。





と言ったわけで、思い当たり創作系〜Bar「カリスマ」③、いざ開幕。。。







4時間後には想定範囲外のイベント、つまり私の逮捕劇が繰り広げられる寒い日だった。
私は、時の人として、日本中のマスコミから注目を浴びていた。そう、年末年始のIZAMの元妻との海外旅行がフライデーされたのだ。
今頃、私の会社のイケテナイ広報ウーマンは、囲み取材に向け、ひーひーぶっこいていることであろう。
そんな彼女を尻目に、私は、昼食に食べた「トマト味のスパゲッティ」の感想文をブログにアップし、オフィスを出た。
そう、口の中に残るトマトとガーリックとオリーブオイルの後味が気になったのだ。




「HINANO、このオイニー、苦手!(プンプン)」
なんて言われた日には、悶えながら瞬時にイッテしまいそうだ。
Sorrow気味の私は、「こりゃマズイ」と口臭を除去するドリンクを買いに町へと繰り出した。
颯爽と。
おもむろに。
巨体を揺らしながら。




私は、ハッキリ言って目立ちたがり屋だ。
時の人としてスターダムにのし上がった。
近年の私のニュースは多くの人の注目を浴びた。
牛軍団買収への名乗り上げたこと(結局は失敗)。
K馬界へ我が名を持つ馬で殴りこみしたこと。(結果は知ったことではない)
8ちゃんの買収問題(今は既に興味がない)
政治への出馬(半分以上ギャグでやってみた)




これ以上ナイ位のスターダム。
ヤマダかつてないサクセス。
昨年末にはレコ大で最優秀新人賞を発表してしまった。
時事ネタにウトク、AAA(トリプルA)を読めずに、滝汗をかいたのもお茶目なご愛嬌。



そんな我が身の眩いばかりの栄光を思い出しながら、六本木の本社を出てコンビニ目掛けて牛のように突進していた途中。
突然ハイテックな建築物が現れた。



1階にあるその建物はガラス張りだった。
カウンターの中にはモニターが埋もれている。
ラスベガスのバーのように、ゲーム機でも埋まっているのであろうか?




「人生ギャンブル」
と言う座右の銘を持つ私の興味が高まり、私はおもむろにその店に入った。





コロンコロン♪
ドアは自動的に開いた。
上下に開いた。
真ん中がパックリ割れて開いた。
ちょっと汁っぽいのが出てた。



開き方にエロスを感じてしまう位の私好みのハイテック。
エレクトしかけたジュニアをなだめながら私は店内を見回した。




時間が中途半端なのであろう。
店内には誰もいない。
「この店大丈夫か?何なら買収すんぞ?」
私は冗談交じりに思いながら、おもむろにカウンターへと向かった。





「いらっしゃいませ」
正直言ってムカツクほどのイケメンのバーカウンターが出迎えた。
(けっ、どうせ顔だけのノータリンだろ?)
と思った私は、軽くジャブを出した。
「あれ?君、新人?」




私ほどのスターダムを知らない奴はいない。ゆえに、このノータリンのイケメンを常連ぶって虐めてやろうと思ったのだ。
すると。




「いえ、お客様。ワタクシはこの店のオーナーでございます」
と礼儀正しく返されてしまった。
さらに。



「お客様は、当店は初めてでございますよね?」
とナマイキにも小気味の良いカウンターパンチを放ってきやがった。
ブッチャケ、むかつく。
そう思った瞬間。



「失礼をいたしました。まぁ、こちらにおかけ下さい」
とカウンター席をそっと案内された。



「ふん、時間がないんだ」
「そう仰られる方が当店には多いんですよ。が、ご安心を」
とバーテンは指を鳴らす。




すると。




ウィーンウィーン。
とパソコンのキーボードが出てきた。


「??」
「お客様、こちらで簡単な登録を行っていただきますと、コチラのパソコンからお客様のパソコンにアクセスすることができます。つまり、この場で普段のお仕事ができる、というわけです」
「ふぇ?つ、つまり、私のパソコンに私がハッキングすると言うわけか?」
「説明させてください・・・」
とバーテンは簡潔に、かつ明確に説明し始めた。
(あ)パスワードは牛の輸出に馬鹿げたコメントを吐く某国大統領レベルの完膚なきまでのセクリティ。
(い)この場で飲食すれば、全てのサービスが無料。
(う)よって私のような社長であり、しょっちゅう邪魔をされる人間には最適な職場(ちなみに私の会社のビジネス・デシジョンはメールを介して行なわれている)
とのことだ。



「なるほど・・・。」
ここから、私は生き甲斐である「社員のメールを垣間見ること」ができる。
が、しかし。
私はバーテンに問いかけた。
「き、君ぃ。後ろから丸見えじゃないか」
「ご安心を・・・」
とバーテンは指を鳴らす。
すると。



ウィーンウィーン♪
私のカウンター席を取り囲むように壁が上下から現れた。
私のカウンター席は個室となった。


「うわ、すごいな・・・」
「しかも!」
とバーテンは更に指を鳴らした。
すると。




「好きなフレームを選んでね(ハート)」
と画面のモニターに文字が現れた。




「初めてのお客様にはプリクラをサービスしております」
「まじっ?」
私のハートはわしづかみされた。



「ふ、ふん。君ぃ、プリクラって古いんじゃない?」
と私は、興奮を誤魔化すために言ってみた。
このバーテンにはばれてはいけない。
未だに私の趣味は「プリクラコレクション」だということを。
交換したプリクラで私の手帳は3桁を越すことを。
先日の選挙ではKOIZUMYと仲良くツーショットを撮ってしまった事を。




「大変失礼いたしました。それでは」
とバーテンは指を鳴らした。
画面は登録画面に戻ってしまった。



「ちょ・・・」
と私は思わずプリクラサービスに画面を変えてもらおうと思ったが、そこは辞めておいた。
恥ずかしかったから。




私は行きつけの福岡の豚骨ラーメン屋のように、個室カウンターの中でパスワード登録をした。
「お似合いですよ・・・」
とバーテンは微笑んでいた。
(何に似ているんだろう・・・?)
私は疑問に思った。
まさか、養豚場のブーブーに似ているというのか?
私がブタっぽいって言うのか?



「まさか・・・。一流IT会社のトップの方には正にお似合いのロケーション、と言う意味です」
とバーテンは言った。
「き、君。なぜ私の考えが・・・?」
「このような職業をしておりますと、お客様の表情から何となく考えていることが分かるのです。さ、こちらをどうぞ」
「こ、これは・・・?」



引き立ての豆の香り。濃縮したコーヒーの心地よい香りが私を包み込む。
「ええ。ダブルエスプレッソです」
「ありがとう」
と私はマミーと同じくらい大好きな飲み物を口にした。
「う、うまい・・・」
「ありがとうございます」
「入れ方が良いね」
「えぇ。一応コダワリを持っております」
「そうか・・・。入れ方を是非伺いたいのだが・・・」
「えぇ。またお時間があるときにお教えさせていただければ。」





この男、出来る。
3年で世界一を目指す私の会社には、是非とも欲しい人材だ。
この容姿は使える。
テレビ写りが良い。
しかも言葉使いが丁寧だ。
ぶっちゃけ、カリスマ・コミュニケーション能力を持っている。
彼を広報に雇いたい。
いや、むしろ、財務ですら任せたい。




「私は占いが趣味なんですよ」
「ほう」
「もしよろしければ、お客様の占いをお伝えしてもいいですか?」
「是非、頼むよ」
「お客様は、明日からこの国で一番安全なスイートルームで夜を越すことでしょう。また、お仕事もお休みできるでしょうし、マスコミの取材も正式にお断りできると思います」
「本当かい?・・・実は、最近、取材疲れしていたんだよ。」
「えぇ。神様がお忙しいお客様にしばしの休息を与えてくれるんですよ」




「神からのプレゼント。忙しい私への束の間の休息。」
私のすさんだ心は癒され、浄化されていく感覚を覚えた。



このBarはイケテル・・・。常連になりたい。




「シュー♪」
音と共に私を取り囲む壁が上下にパックリ開いた。
若干潮を噴きかけながら。




「さ、お客様、そろそろお戻りになる時間では?」
私は、ハッとなり、腕時計を見た。
確か、「政府の管轄のゲストがオフィスを表敬訪問することになった」、と秘書が言っていた。そう言えば、来客時間まであと5分だ。



「マスター、ご馳走様。いくらだい?」
「いえ、御代は頂きません」
「え、そうなの?」
「初めてのお客様には無料サービスいたしております。もしお時間がございましたら、あるいは、来れるようになったら、またご来店下さい」
「あぁ、全社員連れてくるよ」
「ありがとうございます」
「じゃっ!」



私はBarを後にした。




しまった・・・。
パスワードをメモした紙を忘れてしまった。



私は先ほどのBarカリスマに戻ろうと、振り返った。





がしかし。
先ほどまでその場所にあったBar「カリスマ」の姿はなかった。




Bar「カリスマ」。
それは夜の街に現れ、困っている人を助ける、都会という名の砂漠のオアシス。
そんな蜃気楼がまた現れることを信じて、


一時閉幕。。。