オレ様VSチビ(番外編)―本当にラウンド2

このシリーズは1月23日号、24日号、30日号、31日号と長く続いている物である。1月30日号にゴングがなり、華々しくラウンド1が終了した。オレ様(筆者の男友達)の100ポイントの先制攻撃が出したが、チビ(筆者の女友達)は30ポイントのダメージしか受けなかった。














では、大好評に付き、オレ様VSチビ ラウンド2、いざ開幕。。。。

















カーン!
1分間のインターバルの後、ゴングは鳴り響いた。
1ラウンド目は得意な攻撃で先手を奪ったオレ様。
しかし、得意の防御でオレ様の攻撃を最小限のダメージで切り抜けたチビ。
今回のラウンドでは攻守交替だ。




















高まる歓声。
ハラハラ見守るカーコ。
ベカベカと携帯でママに報告中だ。
空腹で瀕死状態の筆者。
我が手足でも食べかねない勢いだ。






















テーブルには生春巻きが到着した。
颯爽と4切れの生春巻きは登場した。
生春巻きにつけるピンク色の甘辛そうなタレを従えて登場した。
筆者はおもむろにつかんだ。
これまでにナイ速さでつかんだ。
夢と希望をつかんだその手で生春巻きをつかんだ。
空腹に耐えかねた筆者は生春巻きをつかんだ。
















「ちょ・・・。私の自己紹介中にアンタ食べんの?」
とチビは目線で訴えた。
筆者は自他共に認めるジェントルメンだ。
筆者は自我を抑えた。
ついでにこみ上げる股間も押さえてみた。
空腹中につき、萎えていた。
が、しかし。






















「ねぇ、これ2度付けしていい?」
とベカベカ携帯を打つ手を止めずにカーコは聞いた。
ママにも聞いたことを筆者に聞いた。
筆者が食べてもいない生春巻きを頬張りながら、カーコは聞いた。
「う、うん・・・」
筆者は力なさ気にそう返事した。
























チビのイケテナイ自己紹介は続く。
如何に自分がツイテイナイかを面白おかしく紹介しているつもりらしい。
元彼が駄目男だった話。
駄目男ばかりに捕まってしまう自分。
彼女のツイテイナイストーリーは壊れたレコードのように続く。
その間、筆者は頷かなければならず、生春巻きを口にすることができない。
ヘッドバンキングのしすぎで目が回り始めた。
ジワリ、ジワリとボディブローのようにダメージを蓄積していく筆者。
しかし、本日のバトルの相手は「オレ様」である。筆者ではない。
その点を指摘しようとした矢先、神が光臨した。



















その男の名前は
オレ様。
























「解説しよう!」
オレ様マニアには生唾ゴックンもののいつもの手つきでオレ様はチビの自己紹介を遮った。
遮られたチビは驚き、慄いた。
カーコも思わず、携帯が閉じない方向に閉じそうになった。
筆者はオレ様の光臨を待っていた。
そう、生春巻きを食すために!





















「いいか、お前は『負け犬』だ!!」
オレ様は高々と宣言した。
初対面の女性(チビ)に向かって暴言を吐いた。
チビは驚き、ビーチクを尖らせた。
カーコも驚き、生春巻きを噴出した。
筆者は今がチャンスとばかりに生春巻きをつかんだ。
夢と希望をつかんだその手で生春巻きをつかんだ。






















「なぁ、筆者」
とオレ様は筆者の肩を馴れ馴れしく叩いた。
空腹状態で体力がない筆者の手はオレ様のバイブレーションを激しく感じ、コントロールを失った。
生春巻きが床に落ちた。
「ベチャッ」と音を立てて堕ちた。
が、筆者の耳にはガラスが割れた音にしか聞こえなかった。




















「あ・・・」
場所は東京砂漠。
3秒ルールは通用しない砂の城
カーコの前で落した生春巻きを食した瞬間に写メされること間違いない。
落した生春巻きを尻目に皿の上の生春巻きを見た筆者。
案の定、生春巻きはチビ、カーコ、オレ様の口の中へと吸い込まれていた。
テーブルの上に残された赤い液体だけがあの日の夕焼けのように筆者を照らしていた。


















「なぁ、筆者。お前もそう思うだろ?コイツは負け犬だ!」
「あ、あぁ・・・(ポックンの方が負け犬ッス)」
「オレの周りの負け犬どもはお前と同じことを言っている!」
「え、どういうこと?」
チビの攻撃の番なのに、いつの間にか攻守交替している。























「お前は、『結婚したい』のか、あるいは『ドキドキ感が欲しい』のか。どっちだ?」
「それって一緒じゃないの?」
カーコは思わず聞いてみた。
カーコのママはいつもカーコに言っていた。
「いい、カーコ?パパとママは恋愛したの。だから結婚したのよ・・・」と。
カーコの世界は崩れかけていた。
ママとパパが恋愛してないだなんて・・・。
ママとパパがドキドキしていないなんて・・・。
思わずの俺様の発言により、カーコはドキドキした。
パパとママよりドキドキした。






















カーコはママにべカベカメールした。
ママにべカベカ質問した。
「ママ、パパとドキドキしてないの?」と。






















普段なら瞬時の返信があるはずだった。
ママの返事はいつも瞬時。
ミルキーはママの味。
と言う事は、ママはミルキーの味。
そんなことを考えながらママの瞬時の返事を待った。
瞬時だけ待ってみた。

















でもママから返信はなかった。
ママからの返信は音沙汰もなく現れなかった。
カーコはママの返事を泣きながら待った。
いつまでも、いつまでもママの返事を待っていた。

















ちょうどその頃。




















「違う!!断じて違う!!今から体験談を聞かせてやろう!」
俺様はカーコの質問を否定した。
むしろ、カーコのパパとママの恋愛話を否定した。
むしろ、望まれていなかった子、カーコの存在を否定した。















(え・・・、アンタ、結婚してナイッショ)
筆者は心の中で突っ込んだ。
おもむろに突っ込んだ。
小学校の頃、好きな子にカンチョーしたときのように突っ込んだ。
が、しかし。





















「よし、筆者。話してやれ!」
オレ様は筆者に命令した。
どうやら筆者の結婚生活はドキドキ感とかけ離れている、と歪んだ理解をしているらしい。
筆者はヤルセナサ一杯になった。
こんなこと書いていること自体がやるせなかった。
妻と呼ばれる女性が筆者ブログを読み始めて以来、大人しくなってしまったこのブログと同じくらいやるせなかった。























「話して、話して。聞きたい、聞きたい」
気を取り直したカーコがベカベカと壊れかけた携帯を打ちながら悲願した。
筆者は、カーコの悲願をスルーした。
聞こえなかった振りをしてスルーした。
初対面なのにスルーした。















「『結婚』か『ドキドキ』か・・・」
チビは悩み始めた。
いつの間にかディフェンスに回っていた。
オフェンスに回ったオレ様は、いつの間にかテーブルの上に来た肉じゃがを頬張りながら言った。
「オレは人参はキライだ。筆者、食え!」
筆者に赤い人参が回ってきた。
汁もなく、人参だけが回ってきた。
(ポックンはウサギっすか・・・)
やるせなさがこみ上げてきた。
目からは汁とも言えない液体が止め処なく溢れ出していた。
目はウサギさんのように充血し始めていた・・・。


















ラウンド2.チビの自己紹介。
チビの攻撃力:3
オレ様に与えたダメージ:3(防御力が皆無のためおもむろにダメージを負った)















オレ様の横槍攻撃:攻撃力100















チビに与えたダメージ:10(圧倒的な防御力とすばやさで攻撃を回避)
カーコに与えたダメージ:1000(存在否定をされ、携帯を折られ、ママから返信がないため)
筆者が喰らったダメージ:20000(空腹につき)











おなかが空いて瀕死の筆者を尻目に
一時閉幕。。。