カリスマ・コミュニケーション

世界を股にかけるカリスマ・コミュニケーターこと筆者だって人間だ。
聞いて良いことと悪いことがある。
特にその質問が「セクハラギリギリのライン」だと、カリスマのカリスマっぷりを思う存分活かす絶好の機会である。


始まりはこうだった。



俺様&ドクトルが連続的かつ発作的に退社し、ランチ難民になるかならないかのギリギリの日々を送る筆者。
筆者の社内チャットはパソコンが動いている・動いていないが分かるシステムだ。
これを見れば他フロアであろうと、他国であろうとチャットが出来る。
よって、他人をランチを誘うツールにはモッテコイなわけである。




そこで、パソコンがアクティブであったゴルフ仲間兼Gフレンズこと魔人ブーを誘ってみた。
すると。
「忙しいブー」
とツレナイ返事が返ってきた。



「まぁ、殺すのは連休明けにしてやるよ」
と思いながら、他にアクティブであった他部署他フロアの2年目女社員プリティ(23)を発見。
早速誘ってみると



返事がない・・・。
明らかにパソコンを稼動させているにもかかわらず、素無視である。
「こいつ・・・。今度会ったときは振り向きざまにそのスポーツブラのホックを瞬時で外してやる!」
と心に決めながら、その他のアクティブを探すと




「妻(と呼ばれる女性)」
「妻(と呼ばれる女性)の上司←最近獲得した読者)」
の2名しかいない。
そりゃアリエンやろ、と。




まずい・・・。
ランチ・ボヘミアン確定だ・・・。



とため息をついた瞬間。
普段気配がナイ筆者の後ろで気配がした。
そう、筆者のチームのメンバーの気配である(チームメンバー全員が草食動物のため、気配がない)




(ここはチームメンバーとメシでも食って、連休前にチームの結束力を高めるとでもスッカ)
とカリスマ・リーダーシップを胸に、我がチームメンバー3名をランチに誘ってやった。
「ランチどうよ?」と。
すると。





男A:いや、今日は早く帰らなきゃいけないのでデスクで食べるよ・・・。ゴメン。
女B:銀行に行ってササッと食べるからまた今度。




お前ら、食い殺す!
と羊の皮をかぶった狼こと筆者の目線が厳しくなりかけた瞬間。
新人A子:あ、私行きます!
と言ってきた。




私、行きます!私、イキます!私逝きます!?




と連休前なのでアホな妄想で下腹部の皮を剥き遊びながら、カリスマとA子はランチを喰いに行くことになった。




さて、ここでA子を紹介しよう。
最近我がチームに合流したため、性格は知らん(そして筆者は他人に興味を抱かない習性を持つ)。
が、見た目は身長高め、スレンダー系、目ぱっちり。顔端整。
なので、A子は学生時代、モテたに違いない。
端整な顔つきで生まれてきた人間、とくに女性に多い傾向なのだが、とにかく彼ら・彼女らは



人生ナメテル。



間違いない。
奴らは生まれついての勝者なのである。
よって人に褒めてもらうのは当たり前。
人に気を使ってもらうのも当たり前。
彼氏・彼女がイナイなんてのはアリエナイ。
ずいぶん前のGの極意でまとめたが「綺麗子」というキャラは確実に存在する。



話を戻そう。
新人A子と単純にメシを喰っても仕方がない。
筆者は他人に興味を持たない習性があるためお互いを知り合っても仕方がない。
それ位だったら尻逢った方がマシだ。
親父ギャグを飛ばしても仕方がないので、筆者は新人A子とのランチの影の目的を設定した。




「彼氏がいるか・いないかの真意を把握する」
これは、カリスマコミュニケーターにとって、最高の「隠された目的」である。



まず、綺麗子に「彼氏いるの?」などと聞いても、
「えー、いないですよぉ。募集中なんですぅ。誰かいませんかぁ?」
とはぐらかされ、新人A子に勘違いと変な自信を与えた後にQ&Aが終了するのがオチである。
今回は、「質問する」ではなく、「真意を把握する」が目的だ。
圧倒的にレベルが高い。



しかも、職場のランチタイムである。
下手すればセクハラ罪で訴えられかねない。
特に、某国の外資系企業に勤める我々は、「セクハラ=死刑」くらいの認識を持っている。
どっかの有名日本車企業の米国元社長もビックリだ。
賠償金200億円請求される可能性だって亡きにしもあらず。
よって、ここら辺も綱渡りである。




さて、カリスマは目的を確定したことに満足感を感じ、戦略を立てることにした。
(あ)何でも話しやすい雰囲気(含む場所)の作成
(い)「(先輩として)僕は君に興味があるんだよ」トーンの演出
(う)「(男女として)僕は君に興味がないから安全だぜ」トーンの伝達(ただし、A子のプライドを傷つけない程度に)
(え)「僕は恋愛の達人だぜ」トーンの意思疎通
(お)「筆者さんのアドバイスは的確(ハート)→だから何でも話せちゃう」と思わせる
そして「相手から自発的に話したくなる(よってセクハラではない)」を作り出すことが重要だ。





そこに山があれば登ってしまい、穴があれば入れてしまう、果敢なチャレンジャーこと筆者は、更に自分を追い込むため、「席についてから30分以内に目的を達成する」という時間設定も加えた。


さて、状況は全てセットアップされた。
後はダイスを投げるだけだ←英国的な表現。




まずは昼食場所を選ぶ。
新人A子:どこにします?外(社外)ですか?中(社員食堂)ですか?
筆者:どっちでも良いよ(と既にジャンパーを手にしている)
新人A子:じゃぁ外で。
筆者:OK(とジャンパーからタバコを取り出し、ジャンパーは席に置く)
(訳)既に新人A子は筆者の術中にはまっている。



エレベータ内にて
新人A子:どこにします?
筆者:どこでも良いよ。でもソバはNG(昨日のランチがソバ)
新人A子:どーしよっかなぁ・・・。
筆者:パスタは?
新人A子:あ、良いですね!
筆者:じゃ、A子さんのお勧めパスタで。
(訳)女性のブッチャケ話はパスタか喫茶店かバーと相場は決まっている。悲しいくらいに決まっている。




A子が指定したパスタ屋は隠れ家的な場所だ。
イケテナイ陸の孤島こと筆者の会社は外食ランチをする際、社員がウヨウヨしている。
最悪の場合、両隣の席に社員がいることなどザラである。
そんな社員がイナイこと100%のパスタ屋を設定してきたA子。



ここで筆者は懸念を抱いた。
そう、それは。



新人A子も「隠れた目的」を持っているのではないか?と。



確かに筆者はブッチギリに魅力的だ。
顔もJOJIMAとか窪塚とかサントスかに似ている。
ひょうきんでファニーで自分で言うのも嫌味になるくらいナイスガイだ。
話し始めればそのカリスマ性がモンモンと漂ってくる。
ゴルフも上手けりゃ、麻雀も上手い。



つまり、女性にモテルべきして生まれた男なのだ。



と言う事は、新人A子は妻(と呼ばれる女性)から筆者を略奪することをたくらんでいるのかもしれない。
その手には乗らないぞ・・・。



筆者は、更なる隠れた目的を設定した。



(オリジナル)隠れた目的:「彼氏がいるか・いないかの真意を把握する」
(追加)隠れた目的:「新人A子の隠れた目的を把握する」
制限時間:30分。
戦略:上記。
使用するもの:カリスマ・コミュニケーション能力。



さて、準備は整った。
レストランに到着し、席に着く。
案の定、会社の人間はイナイ。
ブッチャケトークにはモッテコイだ。
店員が注文を聞きに来る。




新人A子:あ、筆者さんってよく食べます?
筆者:小食だけど、今日は朝ごはん食べてないから、一杯食べるかも。
新人A子:じゃぁ大盛りの方が良いですよ。
筆者:あ、そうなの?(店員に)じゃぁ、このパスタの大盛りで!




注文が終わり、ブッチャケトークから始まる。
取り合えず、新人A子が職場に慣れたか、友達は出来たか、などを心配しているフリをする。
興味もないのに、趣味なぞを聞いてみたりもする。
そろそろ場も暖まってきたころ。




「お待たせいたしましたー」
と料理が思った以上早くに来た。






デリバリーピザ25cmくらいの皿に乗ってきた。
パスタが山盛りに盛られてやってきた。




おいおい、と。
お前の隠れた目的は何なんだ、と。
100歩譲って俺を太らせてどうするつもりだ、と。
お前は餌となる小動物を太らせて食べる肉食獣か、と。
ヘンゼルとグレーテルを騙す魔法使いか、と。



そして気がついた。
彼女の真の目的。
そう、それは。





筆者との会話は苦痛なので、黙らせること。





あぁ、そうですか、と。
筆者はパスタと向き合い、真剣勝負に出た。
もう、当初の隠れた目的なんぞ知ったこっちゃない。
筆者は、超巨大大盛りパスタを目の前に、爽やかな汗をかきながら、パスタを処理していったとさ。




一時閉幕。。。