筆者オーナー③

世界を股にかけるカリスマ・オーナーこと筆者は深く反省していた。そう、それは7月に行われる全日本代表選抜の記者会見の席で、カリスマ・コミュニケーターとしてはアリエナイ程のミスを犯したからである。





ちなみに本日のお話し、PS2のソフト「サッカーチームを作ろう‘04」(略してサカつく)にまつわるお話しのため、その事情を知っていると面白いが、知らない人でも何とか笑えるようにしたいが無理と思われる(と自己反省)。そのために予備知識のコーナーおよび呼び飛ばし可のコーナーを用意した。






ただし、現実のサッカーを知らないとかなり笑えないことをあらかじめお断りしておく。また、筆者は現実のサッカーはあまり詳しくないので、かなり知識に間違いがあるかもしれない。先に断っておく。










予備知識のコーナー(読み飛ばし可)
まず、このゲーム、ほとんど会話は存在しない。ゲーム上の記者会見などは、チームが大物選手を獲得したときに一方的に行われるものである。本日のお話は仮にゲーム上で好きなときに記者会見を開けたら、という空想のお話し。




また予備知識として、筆者のチームをご紹介しておく。
(以下筆者オーナー2よりコピペ)

ビジョン:『神戸および世界の子どもに夢を与えること』
マスコミ・サポーター用スローガン:『頑張ろうぜ!神戸』
チーム内スローガン:『いつでも成長・いつでも反省』
原則:
選択と集中の原理に基づく投資展開。
②神戸の子どもを起点とした活動。
戦略:キッズ神戸を日本のレアルマドリッド(あるいは読売巨○軍)となる。
戦術:
① 選手・監督・スタッフの完膚なきまでの高い満足度とその維持(満足度が高い奴ほどパフォーマンスが高いと想定)
② 地域へのボランティア活動の義務化。
③ その他サポーターへの献身的な活動。


ちなみにキッズ神戸の現状は下記(38年目)。
監督:
コーチ:AC:エレ、GC?、PC:?
資金:2200億円
施設:フルコンプリート
留学先:リバプール、ドーハ以外の良いところ。

チームのフォーメーションは3−5−2DVのサイドアタック.要するにこんなフォーメーション:
     FW  FW

SMF   OMF SMF

    DMF DMF

 CDC   CDF  CDF

       GK
 

チームメンバーは以下の通り:
注:年齢の右のカッコの言葉はレベルを示している。神==>屈指==>完全==>十分==>充分の順番(それ以下もあるが、このチームにはそんな選手は存在しない)

FW(フォワード)
河本鬼(日本が誇る世界のストライカー釜本)20歳(十分)蘇生してきた
高原(飛行機乗りすぎで日本代表を蹴った男)34歳(神)今年は契約の年のため使用しない予定
ルンゲ(ドイツが誇る世界のポストプレーヤー)35歳(神)
中山ゴン(転生してきたカリスマ)27歳(神)

OMF(オフェンシブミッドフィルダー
奥大介(天性の才能を持つJリーガー)37歳(神)引退待ち
グラーフ(オランダが誇る神様)33歳(神)
中田ヒデ(日本のサッカーを変えた男ヒデ)29歳(神)

SMF(サイドミッドフィルダー
石川(Jリーグ屈指の右サイドのドリブラー)28歳(神。最近神化)
デュキャナン(ゲームオリジナルキャラ)27歳(神)
サントスアレキサンドロ(顔が筆者に似ているブラジル系日本人)24才(屈指。最近能力爆発。先輩(闘龍)の引退のおかげ)

DMF(ディフェンシブミッドフィルダー
稲本(オレオレオレ様)28歳(神)
中田浩二トルシエ大好き)39歳(神):引退待ち
名波(ジュビロのMF)34歳(神)
服部(ジュビロのMF)29歳(屈指):今年は契約の年のため使用しない予定
小野伸二(蘇生してきた)23歳(世界レベル):ポルトに飛ばす予定

SDF(サイドディフェンダー
御厨(ゲームオリジナルキャラ。蘇生してきた)20歳(充分)
水原(ゲームオリジナルキャラ。留学中)24歳
法月(ゲームオリジナルキャラ)19歳(十分):金くれ

CDF(セントラルディフェンダー
萩原(ゲームオリジナルキャラ。引退待ち)40歳(屈指)
森崎(ゲームオリジナルキャラ)33歳(屈指)
長尾(ゲームオリジナルキャラ)34歳(屈指)今年は契約の年のため使用しない予定
井畠(元横浜の井原)26歳(屈指)
バウアー(ドイツが生んだ皇帝)29歳(神)
(ユースに柱谷)

GK(ゴールキーパー
曽ヶ端(アゴが気になる全日本のGK)26歳(屈指)
飯田(ゲームオリジナルキャラ)19歳(充分)金くれ?
合計25名(外人枠5枠)。

(以上読み飛ばし部分終了)







秘書の日比野愛がオーナー室のドアを開ける。
「オーナー、記者団が集まっています。そろそろ会見に向かいましょう」
「そうか・・・。」カリスマ・コミュニケーターでもあるオーナーは、世界中の女性を魅了するその腰を颯爽と上げ、部屋の窓から外を眺める。外は梅雨時の雲が空を多い尽くす6月末。来月にはインターナショナルカップ予選であるアジア選手権が始まる。本日はアジア選手権に向け、選びに選び抜いた25名の選手を発表する日だ。ふつふつと闘志が筆者の体内を駆け巡り、体内の血液がある部位に集中し始める・・・。この気持ち・・・。久しぶりだ。









「ときに日比野君*」
注:38年間、キッズ神戸をサポートしてくれている秘書の名前。全国のサカつくマニアが生唾をグビグビと飲み干すほどの人気キャラ。
「ハイ?」
「君は、キッズ神戸に来て何年に経つ?」
「ちょ、ちょっとオーナー。その質問はセクハラですよ」
「いや。そんなつもりはないのだがね。立ち上げから共に歩んできたから、もうかれこれ38年か・・・。長いようで短かったな、この38年は。」
「ええ」
「君はいつでも若いネェ」
(日比野は顔を赤らめる)
「オーナーこそ見た目が全く変わりません!」
「私なんて、この38年間で体重が1kgも太ってしまったよ」
「ええ?そうなんですか?いつも若く見えるので全く気付きませんでした」
「そう言ってくれると嬉しいヨ。ところで日比野君」
「ハイ?」
「世間はクールビズという言葉が流行っているネェ。噂では○ニクロの戦略なんじゃないか、と言われているが・・・。」
「そうですね」
「しかし、我がチームはいつからクールビズを導入したんだね?」
「え・・・。導入はしていないですけれども」
「それにしては、君の本日の服装はカジュアルだねぇ。ジーンズにタンクトップか・・・。」
「す、すみません。以後気をつけます」
「いや、気をつけていただく必要はナイ。ただ・・・」
「ハイ?」
「君の若さが僕の目に眩しいんだ。サングラスを装着しなければ、眩しすぎて君を見つめることができないさ。」
(日比野は顔を赤らめる)
「これからは我がチームもクールビズの導入と共にサングラス着用を義務化しよう。」
「もう、オーナーったら、冗談が上手すぎますっ!!(オーナーが誕生日にプレゼントした腕時計を見て)オーナー。この話しはまた後ほど。今は記者会見ですから・・・」
「そうだったな。では行くか」









おもむろにポール○ミスの夏スーツを羽織るオーナー。会見の部屋のドアを開ける。










記者団は一斉にフラッシュをたく。繰り返すと、本日はインターナショナルカップ予選であるアジア選手権の代表メンバー25名を発表する会見である。










「皆さん。お足元が悪い中、集まってくれてありがとう。それではいつものように会見を行いたいと思う。本日は代表メンバー25名を遂に発表させていただく日だ」
記者団がオーナーの言葉を待つ。












「それでは質疑応答の前に、私が選んだ25名を発表させていただく。そして彼ら一人一人を選んだ理由と期待を述べさせてもらう。が、その前に・・・(日比野に目配せするオーナー。頷く日比野)」











「折角雨の中お集まり頂いたんだ。冷たい飲み物でもお渡しさせていただきたい」
(おもむろに席を立ち、一人一人にキッズオリジナルドリンク「キッズゅーちゅ」を配るオーナー。記者団と握手を交わしたり、挨拶を交わしたり。さすがイギリス帰りの紳士マナーを持っているだけはある。個別に質問する記者に「おいおい、君はいつも先走っているなぁ」と余裕のコメントを出すあたりも紳士である。席に戻り)








「いやぁ、これをしないと会見を始めるぞ、という気にならないんだよ。すまんねぇ」
と言い、記者団から笑いを誘う筆者オーナー。まるでどこかの国の選挙というどうでも良いトピックについて会見を行う首相のような落ち着きっぷりだ。









顔つきが変わり、
「それでは始めさせていただく」
とのコメントを出す筆者オーナー。記者団の面持ちが変わり、場の空気が閉まる。遠くから会場を見つめている日比野が呟く。(さすが、カリスマ・・・)と。











「単刀直入に申し上げる。今回代表メンバーとして選ばせていただいた選手の多くはある一つのチームに集中している。そのチームからは10名以上の選手が選ばれた」
某国の国会のような盛り上がりを見せる記者団。それもそのはずだ。これまでの代表チームとは、海外で活躍する選手を中心に、各チームから1-2名が選出されていた言わば即席チームだからだ。










「オーナー!!質問なのですが」
「・・・また君かね」
ため息と共に筆者オーナーは質問をしてきた記者を見下す。そう、2月の会見でもポカミスを犯した、元キッズの広報本部長である。(カリスマSE殿、元キッズ広報本部長の箇所に筆者オーナー①のリンクよろしく)。








「君は以前(カリスマSE殿、「前回」の箇所に筆者オーナー②のリンクよろしく)大日スポーツの記者だったよね?その後大日さんの社長と話したら、君は自主退職したと聞いたよ。で、今はどこのスポーツ記者として勤めているのかね?」
「前回の件で自主退職した後、フリーライターとして放浪し、現在は小日スポーツで勤めています。この5月からキッズの番記者になりました!今後ともよろしくお願いします!」
「小日スポーツ?聞いたことがない新聞だな?売れているのかね」
(記者団がクスクスと笑う。相当売れていないスポーツ紙らしい)
「ええ。細々とですが・・・」
「そうか。以前は私の上司、その後我がチームの広報本部長、そして大日さんから小日さんへの華麗なる転進か・・・。君が羨ましいよ・・・」
と憎しみを込めて話す筆者オーナー。秘書の日比野が目線で「オーナー。これ以上、こんなイケテナイ女性記者を虐めては・・・」と厳しく叱っている。











「それで、オーナー。質問なのですが。」
「君はいつもそうだねぇ。自分が聞きたいことを聞きたいタイミングで聞き出そうとする。それが相手にとって失礼であるにも関わらず、ルールやマナー違反であっても、だ。何か勘違いしていないかね?君は会見のルールを守れなかったから大日さんを自主退職することになったんだろう?どこかの会社が言うように、『失敗から学ぶ』ということが出来ないのかね?全く・・・」
(記者団がクスクスと彼女を笑う)











「しかし、オーナー・・・」
「もう君はいいよ。今日の会見以降はキッズ神戸の立ち入りを禁止させていただく。いいね?」
「で、でもオーナー。」
「くどいねぇ、君は?」
「オーナー!だってどう考えてもおかしいですよ!」
「ふぅ(ため息)。・・・何がかね?」
「代表メンバーは25人。でも規約として『代表戦のときでも1つのチームに日本人を5名は残さなければいけない』という規約があるじゃないですか!?」
「そ、そ、それが何か?」
(明らかに動揺するオーナー。日比野に目配せで会話をする)
「日比野君、君はそんな規約があることを知っていたのか?」
「し、知りませんでした!!」
「な、ナニィ!でも記者団の反応を見ると、半数くらいはこの規約を知っている、もしくは思い出した、という反応をしているぞ!」
「ど、どうしましょう、オーナー!」
「し、仕方が無い!今のところの会話では何も問題はナイはずだ。このまま知っていた振りをしながら、メンバーを考え直すことにする!」
「えっ!?そんなことが可能なんですか?オーナーがいっつも言っている『透明性』はどうするんですか?キチンと理由を言って、後日会見を開いた方がいいのでは??」
「そんなことは出来ない!世間からはアホンダラオーナーとして思われてしまうではないか!しかもその後「xxは選ばれたけどオーナーが規約を知らなかったからだ。xxが選ばれなかったのもオーナーが規約を知らないアホンダラだったからだ」など様々な憶測が飛ぶに違いない!ここはしらばっくれてメンバーを考えながら話した方が良い!(それにこの元広報本部長に『してやられた』と思うのは悔しいしな!!)」
「分かりました!私はどうすれば?」
「まずキッズの選手を発表する。その後他チームの選手を発表することにする。そうすることでキッズの選手への焦点が集まると共に、他チームの選手を選出する時間が稼げるからな!」
「・・・と言うことは」
「そうだっ!君は今すぐ会場を出て、他チームの選手を探って欲しい!!海外と国内どちらもだ。が、時間がないので選考基準を言い渡しておこう。①元ドクトルで蘇生してきた人材、②海外で活躍する人材、③国内有望チーム(オイリス、アントラーズ、レッズ)の若手、とする!!良いな!」
「オイリスも、ですか?」
「勝って敵に塩を送る、だよ」
「・・・意味が分かりませんが、何となく分かりますっ!さすが、カリスマ・コミュニケーターですねっ!」
「そんなことはどうでもよい!さぁ行け、日比野君!時間は5分とないぞ!」
「ハイっ!!」
日比野が会場から出て行く。これらの目線での会話に要した時間はほんの1秒。38年間共に歩んできた生涯、もといキッズ創世記からのパートナーとしては当たり前の会話である。










オーナーは記者団に視線を戻し、会見を再会する。
「もちろん、知っているとも。日本人を5名残すことだろう?分かっているとも。ところで君、私はあくまで『10名以上が1チームから選ばれた』と申し上げただけだが?誰も「チーム全員を連れて行く」などとは言っていないと思うが??」
「(ハッと気づく小日スポーツの記者)え、ええ。そうですね・・・。」
「君は前からそうだったよね?大日スポーツ時代もそう。キッズ神戸の広報部長時代もそう。古くをさかのぼれば私が他の会社で君の部下として勤めていたときもそうだった」
「オーナー。私、キッズ神戸の広報部長時代とかその前の時代とかおっしゃっていることが分からないんですけど・・・」
「そうか。君は前世の記憶がないんだね?まぁいいとしよう。しかしだ。君はいつもマナーやルールを違反し、聞きたいことを聞きたいタイミングで聞き出し、理解していないのに理解した振りをする。そこまでであればまだ許せるが、もしその歪んだ聞き出し方で得た情報を、筆という武器を使用し、記事という暴力を振るうとしよう。もし、君がそのような人間であれば、君は人として最低の人間だよ?」
「オーナー!私そんな人間じゃありません!」
「もちろん、君が違うことは分かっている。が、歪んだ聞き出し方で情報を得る習性があることは正しい。そして今正に情報を歪んで受け止めるポテンシャルがあることを証明した。だから、私は君が最低の人間ではないことを確認したまでだ。分かってもらえるね?」
「え、ええ」
(たぶんコイツわかってねぇだろうなぁ・・・と冷めた目で小日スポーツの記者を見下す記者団。そう、番記者とオーナーの関係はあくまでパートナーであり、主従の関係であってはならない。)













「さて、と。」
オーナーが話題を変えようとしている。その気配を感じた記者団はオーナーの発する次の言葉に耳を傾ける。










「話を戻させていただこう。先ほど申し上げたように、代表メンバーの中の10数名はあるチームから選出されている。それでは結論から申し上げよう」
記者団がいよいよ、と待ち構える。












「そのチームとは、私がオーナーを行っている『キッズ神戸である』」
やっぱりそうか・・・。という反応が記者団を包む。













「皆さんには2月の段階で私が重視している点をお伝えしている。繰り返すと、私が重視する点は、『コミュニケーションを通じ、120%の実力を出せる選手』である。キッズ神戸のメンバーは常に反省し常に成長している。彼らが最近取り組んでいること。それは「コミュニケーションを通じ120%の実力を出すこと」だ。正に代表チームとして選ばれるべきして選ばれたチームと言える。そんなチームの中で私が選んだ選手を1人1人発表させていただく」
記者団が唾を飲み込む。オーナーはここからが勝負である。『5名を残す』。これが重要だ。つまり、キッズからは25−5(外人)−5(居残り)=15名しか選べない。












「まずはキャプテン。これは日本が誇る世界のヒデこと「中田ヒデ」にやってもらう!ヒデは常に所属チームであるキッズ神戸の右サイドの要として活躍しており、本来のポジションである司令塔のポジションでも使えるし、最高の人材と考えている。また、海外での経験も持っており、彼のノウハウは新代表チームを最上級のレベルに高めるためには必要不可欠であると思われる!」
やっぱりヒデかっ!!という記者団の反応を心地よく受け止めるオーナー。












「続いてヒデをサポートするキッズ神戸から選ばれた代表チームのミッドフィルダー陣を発表したい。この発表の順番に意味はないとご理解頂きたい。ミッドフィルダー陣は・・・」
記者団が生唾を飲み込む。









小野伸二中田浩二、サントス、名波、石川、奥だっ!!つまり、キッズ神戸の日本人メンバーの全MFが選出されたということになる。成長中の人材を含め、彼らには非常に期待をしている!まず成長中の小野!彼は現段階「世界レベル」でしか過ぎないが、類稀なるプレイメーカーとしての技術、高いパス&得点能力など、代表チームに大きく貢献するであろう。もちろん、名波には神レベルのプレイメーカーとして思う存分その力を発揮してもらいたい。中田浩二ボランチとして守備的MFとして神レベルである。変則的にDFとして使用することも検討される。稲本は神レベルのダイナモとしてチームのエンジンとなってもらいたい。また彼は代表戦になると著しく燃えるからねぇ」
記者団の手は休むことなくオーナーのコメントを書きとめている。














「攻撃的なMFとしてのサントスは唯一ポジションが決まってしまう存在ではあるが、先日能力爆発があり、正に脂が乗っている状態だ。JAPANの左サイドにサントスあり、と他チームに恐れられるポテンシャルを秘めている。右サイドの石川は逆にJAPANの右翼としてその神レベルのドリブル能力を発揮してもらいたい。そして世界に誇る日本の最高峰のユーティリティプレーヤーこと奥大介にはGK以外のポジションを言い渡す可能性があるので、彼に休みはないだろうねぇ・・・」













「さて、次にFW陣の発表に移りたいと思う。FW陣は・・・。当然と言えば当然のメンバーを選んだつもりだ。まず、中山ゴン隊長!世界に誇るカリスマっぷりとスーパーサブ*っぷりを発揮してもらいたい!」
注:スーパーサブ:後半から出すと、実力以上の力を発揮する能力。この能力を持つゲーム内プレーヤーは限られているが、中山ゴンはその中でもピカイチの能力を誇り、必ず点を取るくらい凄い能力を持っている。
「続いてストライカーとして、高原、そして河本鬼を選んだ。高原はここ数年、Jリーグの得点王として活躍しているため、当然と言えば当然の選出。ただし、彼は飛行機に長く乗ることが出来ないため、彼に限り水路と陸路の活用を許可することにした(記者団が笑う)。そして河本鬼だが、現在まだまだ世界で十分のレベルであるが、選出している。今年のJリーグファーストステージでは堂々たる得点ランキング上位に入っているところからも、現在注目選手として日本中の期待を獲得している。「世界の鬼」として歩むためにも、今回は招集させてもらっている。」










「続いて変則的であるが、GKを紹介させていただく。キッズから招集されたGKは・・・」
まさか、飯田も入るのか?と記者団が唾を飲む。そう、今年颯爽とJリーグ入りし、ファーストステージで既に4試合も出場を果たしたスーパールーキーこと飯田。が、番記者が得ている情報だと「金銭面に貪欲」らしく、既にオーナーから2億円(年俸は500万円のくせに)をゆすり取ったことから、オーナーと仲違いになっていると噂されている人材だ。












「世界屈指のGK、曽ヶ端、のみだっ!」
やはり・・・。記者団の反応を受けるに「飯田=金をせびる腐った男」という情報は正しい、と理解したのであろう。













「曽ヶ端はアゴも凄いが実力も凄い。日本のゴールを守ってもらうためには、必要不可欠な存在になるであろう。あの圧倒的なリーダーシップでチームメンバーをアゴで使って欲しいと思う」
記者団の笑いを誘いながらも不発に終わるオーナーのギャグ。やはり本日の記者会見は失敗か?と一抹の不安がよぎる。















「さて、キッズからのメンバーとしては最後のポジションとなるが、ディフェンダーを発表したい。今回選出したメンバーは、森崎、長尾、井畠の3名だ!!」
やはり、という声と何故?という声が会場を半分に分ける。それもそのはず。将来日本のサイドバックを担うであろう法月と御厨が選出されていないからだ。この驚きは新人記者の反応であろう。が、古い記者、あるいは情報通の記者は知っている。先日、ルーキーながら他チームから引き抜かれた法月は、「チームメンバーが気に入らない」という子どもっぽい理由でオーナーを呼び出し、2億円もの金額を要求し、オーナーから法月の年俸と同等の金額が支払われたという噂が流れていること、そして右サイドの御厨は大器晩成型の成長をするため、現在は実力不足であると噂されているからだ。













オーナーはドアの外を見つめる。秘書の日比野はまだ帰ってこない。・・・時間稼ぎが必要だ。











「今回の一見変則的なチームの選出はサッカー界の常識を覆すことになるであろう。よって、この時点で、つまりキッズのメンバーを発表したところで質疑応答をしたいと思う。何か質問があるかね?」












記者団の手が上がる。もっとも高く手を上げ、声を出しているのは・・・。アイツだ。そう、元キッズの広報本部長、大日スポーツの記者を経て、現在小日スポーツの記者をしている女性である。










が、オーナーは、彼女に目をくれず、古い番記者を指名する。










「オーナー、今回の選抜メンバー、まずは驚きました。が、オーナーの理念もまかり通っているかと思います。現時点で15名選出されていますよね?そこで質問が2つあります。まず、このメンバーで先発メンバーおよびベンチメンバーを埋め尽くす気でいるのか?ということ。そして選考に漏れたキッズのメンバーについて、です」
「いい質問だ・・・。まず、今回の質疑応答なのだが、選考に漏れた選手はゴマンといることを踏まえると、その一人一人に対して私がコメントをすることは控えたいと思う。それがどのチームであっても、だ。よって2問目の質問はお答えしないことを了承していただきたい。そして1つ目の質問、先発メンバーについてだが、現段階では誰が先発になる、ということは想定していない。代表チームが合流し、練習を見てから決めたい。これはキャプテンを任命した中田ヒデについても同じことが言える。先発メンバーは全員等しく白紙、である。」












「オーナー。今回の先発メンバーがオーナーのチームから選出されていることについて、ファンの方はどう思うと思われますか?」
「いい質問だね・・・。確かに偏りがあるかもしれない。が、私は自分自身を「全国のサッカーファンの方々が選んでくれた代表監督である」と強く信じている。そして自らが信じる、つまり自信がある戦略、その一つが『コミュニケーションを通じ120%の実力を出す』選手でチームを固めることである。どこそこのチーム出身の選手である、ということは関係ない。あくまでも結果論である。それはサッカーが結果命のスポーツだからだ。仮定が命のスポーツではない。世界的有名な選手が貧乏な国の出身、学歴が低い、などはあるかもしれない。が、誰がそれを気にするのか?そう、サッカーはサッカーというスポーツを通じ、試合を見てくださったファンの方々に夢を与えるスポーツだ。・・・つまり、出身チームという背景ではなく、結果を通じて夢を与えることが出来ればいいのではないだろうか?そして夢とは優勝すること、唯一つである!!」















どよめく記者団。記者団の質問する手が下がりつつある。それほどオーナーのビジョンは確固たるものなのであろう。・・・まずい。日比野が帰ってこない。と、そこへ勢い良く手を上げる記者が一名。そう、例のアイツである。ここは時間つぶしに、とオーナーが彼女を指名する。













「オーナー。今回の先発メンバーの選考方法が『コミュニケーションを通じ120%の実力を出すこと』であることは伺いました。が、矛盾点があります!現在のJリーグを見渡し、誰よりもコミュニケーションを行い、誰とでも連係プレイが取れる大ベテラン、萩原さんが選考されていません!これはオーナーの選考基準と相反するのではないでしょうか?」
「・・・鈍い質問だね。君は私の話を全く聞いていないようだ。いいかね?先ほど私は「選考に漏れた選手に対するコメントは控えさせていただく」ということで皆のご了承を頂いたと理解していたんだが・・・。」
「それはそうかもしれませんが!」
「まぁ、君の質問の仕方が悪かったとでもしよう。本来であれば、君は『何故萩原が選考から漏れた?』という質問ではなく、『選考メンバーよりもコミュニケーションを通じ120%の実力を出す選手がいるように思えるがどう思うか?』と質問すべきであったと思うのだが?」
「・・・そうかもしれません。それではそのように直させてください。」
「君はイチから日本語を学び返した方が良いかもしれないね。どこか良い小学校でも紹介しようか?」
記者団から失笑が聞こえる。










「私が君の下で働いていた時代にそんなことを私に言っていたような気がするが・・・。全く、時の経過とは恐ろしいもんだねぇ。私が君にそんな口を聞いてしまっているんだからねぇ」
「オーナー、私、その前世のことがよく分からないのですが・・・」
「あぁ、そうだった、そうだった。で、君のしょうがない質問はなんだったっけ?ああ、私が言い直してあげた『選考メンバーよりもコミュニケーションを通じ120%の実力を出す選手がいるように思えるがどう思うか?』ということだったね?」
「・・・ええ(と悔し涙を浮かべている)」
「では謹んでお答えさせていただくとするか」
日比野がそっと会場のドアを開け、オーナーと視線を交わす。どうやら準備は整ったらしい。日比野の手には追加の「キッズゅーちゅ」が用意されている。これで日比野の入退室も不思議ではない。さすが日比野である。












「まず、私は代表監督と就任してからの1年間、様々な選手を見てきた。私は私の目を信じている。キッズ神戸は設立2年目以降、ずーっとJ1チャンピオンとして輝いてきたし、この10数年間は世界一のクラブチームとして評価をされている。キッズ神戸からは、世界MVP,世界イレブンなどを毎年選出している。そのような実績のある選手を判断する目、私が38年間養ってきた選考眼を信じて欲しい。そして我がチームはいつでも革新的な取り組みを行っている。選手の起用方法、一見関係ないと思われるトレーニング方法。失敗かと思われる海外遠征や留学先の選出。これら全ての経験と実績と革新性。これらに勝るものは何もナイ。・・・君の考える代表メンバーに勝る連携プレイの保持者?それは参考意見として是非とも聞かせていただきたい。そう、選考前にね。が、君は今、選考後の発表の場にいるんだ。そして選考されたメンバーに対して侮辱的コメントを言っている。そして、私の38年間の人生とそこから学んできたモノゴト全てに、いや、私の38年の人生に影響を与えてくれた5マンとも250万人とも言える方々を侮辱している。個人としてではなく、私の人生を支えてくれた方々の代表として君を訴えたい気持ちで一杯だよ。」
「で、でも・・・。」
「これ以上は意見の相違としか言いようがない。が、先ほども申し上げたとおり、サッカーは結果を通じて夢を提供してくれるスポーツ。結果で全て物語ろうではないか。まずこのアジア予選を私はトップ通過するつもりだ。そうすれば、現段階で意見の相違がある君、そして全国の人々も納得していただけるであろう・・・」









記者は黙り込んでいる。そして記者団はオーナーの怒りの逆鱗に触れたこの記者に対して冷たい視線を注いでいる。オーナーはもう直ぐこの会見の失敗を誤魔化すことができることを自負する。











「皆さん、申し訳ないが、一度手を洗いに立ってもいいだろうか?ちょっと冷静になりたいところもあってね・・・」
記者会見では異例の「会見の席を外す」行為。記者会見でこのようなことは通常許されない。何故ならば会見中に席を立つことは『後ろめたいことを隠すための作戦会議をする』と誤解され、発信するメッセージの信頼性が激減するからだ。が、今回の場合、このヘチョイ記者の責任とすることは可能だ。ここで注意しなければいけないことは、「記者とのケンカ!選考発表の秘話!!」と言った馬鹿げた記事になってしまうことである。そこで、オーナーはこのような記事を避けるために口を開く。














「皆さんの選考メンバーおよびインターナショナルカップに対する熱い思いが伝わり、私の闘志も更に燃えてしまってね・・・。ちょっと冷静にならないと、と自分を戒めていたところなんだ」
緊張がほぐれた笑いが記者団から聞こえる。そう、新人の記者の非礼をジェントルメンな対応で包み込むオーナーの優しさがヒシヒシと伝わったのであろう。











「それでは、皆さん、後ろにジュースのお替りをご用意させていただいた。私が失礼している間、自由にお飲み頂きたい(どうせ彼らは速報を社に入れるため、見向きもしないであろうが)!5-6分、失礼させていただく。日比野君、例の服はドコに置いたんだね?」
(着替え??)という面持ちの記者団と日比野。が、日比野は直ぐに気付き「オーナー室に置いてきてしまいました!スミマセン!」と声をかける。オーナーと日比野は「いいよ、私が取りに行く」、「いえ、私が」と声を交えながらオーナー室へと向かう。












会場を出て日比野はサッと紙を渡す。「ラブレターかね?」と声をかけながら、目を通すオーナー。そこには10名の選手の名前と選考理由が書かれている。日比野が声をかける。
「オーナー、着替えとは?」
「いや、突然口が滑ったんだ。何かあるかね?」
「えっ・・・。そんな・・・」
「そうだっ!」オーナーは声を上げる。
「日比野君、ゼッケンが入っていない代表ユニフォームのレプリカがあったろう。あれを取って来い!」
「えっ?あ、ハイ・・・」
オーナーは自分のいすに腰掛け、ニヤリと笑う。日比野は倉庫へ向かう。オーナーは日比野の丸っこい字を一生懸命覚えている。











5分後。会場に戻ったオーナーと日比野。オーナーはいつもどおり席に着き、口を開く。








「皆さん、お待たせした。・・・しかしも皆さんの代表チームに注ぐ熱い気持ちと熱気が充満しているねぇ。ちょっと上着を失礼してもいいかな?」
とおもむろにポール○ミスのジャケットを脱ぐ。オーナーは、ゼッケンがついていない代表ユニフォームを着ていた。








記者団は「シャッターチャンス!」とばかりに、カメラのフラッシュを焚く。日比野は部屋の遠くから「さすがカリスマ・・・。演技も達者ね・・・。」と呟く。








フラッシュが落ち着き、オーナーが口を開く。










「それではキッズ以外のチームから選ばれた選手を紹介したいと思う」










記者団が息を呑む。オーナーは覚えたての長台詞を自慢げに読むかのように、FWから発表していく。
「まず、キッズ神戸以外の選手全員を申し上げたい。その後、一人一人に対する期待を述べさせていただく」
とオーナーは以下の選手の名前を告げた。
FW:野毛(オイリス)、那智(オイリス)、柳沢(アンダルシアFC)、MF:木村和司(大連FC)、中村俊輔(レッジョカラブリアFC)、DMF:岩城(SCニース)、SDF:海道(釜山FC)、GK:三神(オイリス)。








「まずは、FW陣の野毛(オイリス)だが、現在オイリスのスタメンを張る男として大活躍。Jリーグ1stステージでも見事トップ10入りをしたストライカーだ。次に那智(オイリス)22歳だが、その類稀なるポストプレイを発揮して欲しい。そして海外組の柳沢(アンダルシアFC)は今期すでに25試合出場し、12得点を挙げている。しかも、私のカリスマSEにどことなく似ているところもあり、そつない活躍が見込まれる(もちろん、ベンチウォーマーとして)。そしてMFは外国勢で固めた。木村和司(大連FC)は29歳のベテランとしてチームに活を入れることを期待したい。中村俊輔(レッジョカラブリアFC)は22歳のくせに既に33試合に出場し、7点挙げている。日本代表の司令塔としてファンタジスタな活躍を期待する。DMFには岩城(SCニース)を用意した。彼なりの活躍を願う(実は知らない選手)。SDFは海道(釜山FC)左サイドからの攻撃を期待する。最後にGKの三神(オイリス)には、余すことなく萩原タイプの連携を発揮して欲しいと願っている。以上だ」













記者団から質問の手が上がる。が、会場の最後尾から秘書の日比野が声をかける。











「オーナー、次の予定が」
「おぉ、そうか。まぁいいではないか。あと一つの質問くらい。(記者団を見つめ)スマンねぇ。次の予約が入っているようだ。では、次の質問を最後の質問としたい。・・・誰か質問は?」











記者団はお互いを見回す。そう、記者団の中では「最後の質問は番記者の古株がしなければいけない」という暗黙の了解、むしろ鉄則の掟が存在するからである。番記者の古株とは、もちろん、記者団のリーダーこと「宅さん」である。「宅さん」は3歩歩くとモノゴトを忘れるニワトリみたいな古株番記者でありながらも、その感性豊かな切り口で長年キッズ神戸を応援してきたサポーターでもある。








「オーナー、よろしいでしょうか?」
例の女性記者が手を上げる。








もちろん、私は見て見ぬ振りだ。彼女にかける言葉は既にナイ。












「オーナー、それでは質問してもいいかな?」
宅さんが手を上げる。オーナーは宅さんを指名する。










「オーナー、今回の人選、ワシは賛成じゃよ。オーナーの熱き思いがよく伝わってきた・・・」
「宅さん、ありがとう!宅さんにそう言って貰えると嬉しいよ」
「オーナー、ワシャあんたの心意気を買っとるよ。是非優勝して欲しいよ」
「あぁ、宅さん、頑張るよ・・・。で、宅さん、質問は?」
「質問・・・?」













微妙な間が立ち込める。















「あぁ、質問の場だったんか、忘れてもうた・・・。」















記者団の失笑を買う宅さん。宅さんのメンツを守るためにも、ここは最高のフォローアップをしなければならない。















「オーナー、代わりに質問してもいいですか?」
例の記者が手を上げる。














オーナーは会見の席から立ち上がり、大きな声で発言することで彼女をシカトする。











「皆さん、宅さんが言ってくれたように、私は今回の人選が最高の人選であると強く信じてるっ!代表チームおよび代表選手達に大きなエールと熱い声援をお願いしたいと思う!以上だっ!!」
日比野が間髪を入れずに拍手をする。つられて拍手をする記者団。記者団の拍手に釣られて拍手する宅さん。「なぜ自分が拍手しているのか」すら既に忘れているようだ。
「ありがとう!!ありがとう!!」












どこかの国の首相のように記者団に手を振りながら退室するオーナー。











通路にて。


「日比野君、今回のミス、今後はないように」
「ハイッ!!スミマセンでした。2度と起きないように気をつけますっ!」
「そうしてくれたまえ。・・・スマンが一人にしてくれるか?」
「はいっ」










オーナー室に閉じこもるオーナー。

カメラは「カノウ派遣事務所*」の担当の名刺を手にするオーナーを映しながら、エンドロールを流している。

注:カノウ派遣事務所とは:年間6社と契約できるスポンサーとなりえる会社。この会社と契約すると、2月に「秘書交代しますか?」という質問があり、「ハイ」と答えると無料で秘書を交代してくれる。その代わりスポンサー料はメチャクチャ低い。このイベントが発生しないと、5年間は同じ秘書を使い続けることになる。










一時閉幕。。。