右サイド立浪の悩み

「畜生!!何故だ?何故俺じゃ駄目なんだ!?」

暗いシャワールームの中。キッズ神戸の右サイドこと俺(立浪)の頬には、シャワーからの水滴なのか、あるいは涙なのか。ほろ苦い水分が伝っていた。




ちなみに本日のお話し、PS2のソフト「サッカーチームを作ろう‘04」(略してサカつく)にまつわるお話しのため、その事情を知っていると面白いかもしれないが、知らない人でも何とか笑えるようにしたいが無理であった(と自己反省)。そのために予備知識のコーナーおよび呼び飛ばし可のコーナーを用意した。




昨日の「エース鬼の悩み」が大好評だったため、本日も「サカツク系」のスピンオフとして、今回はキッズ神戸の右サイドこと立浪を主役とし、彼の悩みにスポットライトを当ててみたいと思う。



予備知識のコーナー(詳しくは10月28日の日記参照。本日はチーム状況のみ掲載)
キッズ神戸の現状(55年目)。監督:高原。資金:3600億円。施設:フルコンプリート。留学先:ドーハ以外の良いところ。

チームのフォーメーションコンボはマジックマーシャル、3−5−2DVのサイドアタック.要するにこんなフォーメーション:
     FW  FW

SMF   OMF SMF

   DMF DMF

 CDC   CDF  CDF

       GK
 

チームメンバー:
FW(フォワード)
河本鬼(日本が誇る世界のストライカー。3回目の蘇生)37(神)エースストライカー(鬼)
大久保(最近外国に移籍した難波のストライカー)27歳(神)ストライカー、スタメン(東)
フリードリッヒ(連携抜群のポストプレーヤー)37歳(神)ハイタワー、スタメン(萩)
柳沢(カリスマSEに似ているチャンスメーカー)30歳(世界レベル)チャンスメーカー、スタメン(東)
勝浦(ゲームオリジナルキャラ)22歳(十分)ポストプレーヤー。控え。性格と連携に難アリ(高梨)
エレ(サッカーの神様ペレ)24歳(屈指)ファンタジスタ、(56年目2月に留学追放予定)(萩)
浦和九(ゲームオリジナルキャラ)18歳(充分)ストライカー。遊びで獲得(東)

OMF(オフェンシブミッドフィルダー
中田ヒデ(日本のサッカーを変えた男)29歳(屈指)トップ下、スタメン(右ウィングとして使用)(鬼)
グラーフ(オランダの天才。3回目の獲得)24歳(屈指)セカンドストライカー(56年目2月に留学追放予定)(鬼)

SMF(サイドミッドフィルダー
立浪(ゲームオリジナルの右サイド)32歳(屈指)アタッカー、控え(成長が止まった。本日の主役)(萩)
ギグス(左のウィング)33歳(神)エストレーモ、ブッチギリのスタメン(サントス蘇生待ち)(御)


DMF(ディフェンシブミッドフィルダー
与田(ゲームオリジナル)29歳(屈指)ダイナモ、控え、クビ候補(御)
戸田(ファール多そうなミッドフィルダー)31歳(神)ダイナモ、スタメン(御)
小野伸二(ハ○スのカレー大好き)40歳(神)レジスタ、控え(引退待ち)(萩)
源(プリンス・源)35歳(屈指)レジスタ、控え(名波のサブ、つなぎ)(阿見
名波(連携が悪いMF)21歳(十分)レジスタ、スタメン(鬼)


CDF(セントラルディフェンダー
バウアー(ドイツが生んだ皇帝。3回目の蘇生ゲッチュ)24歳(屈指)リベロ、スタメン(鬼)
宮本(バットマン、もしくはSM大王)32歳(神)ラインDF、スタメン(鬼)
森岡(Jリーガー)34歳(神)フィード、スタメン(鬼)
中田浩二(トルシェ大好き、ディフェンダーにコンバート)28歳(神)ボランチ、控え(東)
遠藤(Jリーガー。無理やりディフェンダーにコンバート)25歳(留学中)(東)
中西(知名度ゼロのJリーガーだが連携優)23歳、ベンチで控えてろ(萩)


GK(ゴールキーパー
楢崎(日本のゴールの守護神)26歳(屈指)攻撃的、スタメン(東)
横村(ゲームオリジナルキャラ)30歳(十分)オーソドックス、控え(給料安い)(東)
三神(オリジナル?)27歳(屈指)オーソドックス。クビ候補(萩)
合計25名(外人枠5枠)。

(以上読み飛ばし部分終了)

ながーい前振りが終わったところで、いざ開幕。。。





「高原さん、今イイですか?」
この11年間、チーム監督として熱い指導を毎日行なってくれる監督こと高原さんを俺は捕まえた。高原さんが現役時代は、圧倒的なエースストライカーとしてチームを引っ張ってきていて、当時若手で次世代を担うと期待されていた俺ごときが話しかけられる人ではなかった。






「タッチャン、どうした?」
このニックネームをつけてくれたのは、オーナーだ、とファンの集いでは聞いている。それ以来、高原さんやオーナーはもとより、サポーターも俺のことを「タッチャン」と親しみを込めて呼んでくれる。










「高さん、今日は正直に話させてください。何でヒデが試合に使ってもらえて、俺は控えなんですか?」
「何だ?今の起用方法に不満があるのか?」
「いや、不満じゃないんです。納得がいかないんです。俺じゃなくてヒデ。この起用が納得いかないんです」
「お前の悩みは分かった。だがなぁ・・・。選手の起用から選手との契約、そして引退後の雇用に関しては、全てオーナーが権限を握っているんだ。」
「え・・・?」
「あぁ。まぁ俺も監督として既に10数年、チームを任されてきているから、あの人の考えは手に取るように分かるんだが、それをお前だけに言うのは不公平だからなぁ。」
「それは分かりますけど・・・」
「まぁ、俺がいえることは、何も考えずに練習を続けてれば、いつか試合に使ってもらえるってことかな」
「高原さん・・・」
「うん?」







俺はオーナーと直接話し合いたいことを言った。監督は猛烈に反対したが、最終的には俺がオーナーと話したがっていることをオーナーにそれとなく伝えてくれる、と約束してくれた。



そして。。。





オーナー室でよく見かける秘書のサラが俺を呼び出した。
「タッチャン、ちょっといい?」
「はい、なんですか?」
俺は練習のやめ、サラに向かって話し始めた。









「タッチャン、今イイ?しゃぶってイイ?」









「はっ!?」
「オーナーに言われたアルネ。「サラ、タッチャンが今イイか探って来い」って」
「・・・サラさん、オーナーは『探ってコイ』って言ったんだろ?『しゃぶってコイ』じゃなくって。」
「タッチャン、日中堂々とセクハラは禁止ね」
「・・・」








俺はオーナー室の前に立ち、大きく呼吸をしてからオーナー室に入った。
「失礼します」
「おぉ、タッチャン。よく来たな。まぁ座ってくれ」
ダンヒルのスーツに身を包んだ、英国系紳士の香りがするカリスマが俺を迎えてくれた。








「で、タッチャン今日はどうした?」
「実は・・・」
俺は、現在、俺ではなくヒデが起用されていることに不満があることを伝えた。





「ふむ・・・。つまり、タッチャンが言っているのは、①ヒデと同等の実力(注:ヒデと立浪は共に屈指)であり、ポジション適性能力、連携能力が勝っている自分が使われるべき、②にもかかわらず、ヒデが留学から帰国してきた去年からはずうっとヒデが使用されている、その理由を聞きたい、ということだな?」
「えぇ」
「なるほど。タッチャンの言いたいことは良く分かるヨ。」
「じゃぁ聞かせてください」
「タッチャン。ちょっと思い出して見てくれ。タッチャンは確か、20歳で入団。22歳からエヌグに2年間留学。その後スタメン。29歳でロンドンに半年留学。帰国後、契約を延長してスタメン。で、去年はヒデが2年留学から帰ってきたのでベンチ、だったよね?」
「ええ。その通りです」
「タッチャンも経験しているだろうが、キッズ神戸では、留学から帰ってきた選手はスタメンででているよね?」
「ええ。」
「何故だと思う?」
「それは・・・」
俺はこの質問に対して答えを持っていなかった。
そのことを正直に告げると、オーナーは誠意を持って答えてくれた。










「つまりな、タッチャン。留学に行くと、能力が爆発する。しかし能力の爆発=能力の体得ではない。その爆発した能力を体得するには、試合に出るのが最も近道なんだ。だから、私は帰国した選手をチームの戦略に合うのであれば、優先的に試合に出している。つまり、昨年はヒデが先発として試合に出る優先権を持っていたって言うことさ。・・・そう、君が2回の留学後に得た権利と同じようにね」
「なるほど・・・。でも今年はどうなんですか?これからは関係ないですよね?」
「この先2年はケースバイケースで対応していこうと思っている。ヒデはある程度留学先で得た能力を体得しつつある。が、君も言ったとおり、ポジション適性と連携が上なのは君だ。だから、ケースバイケースで対応していく。君にとっては勝負の年だ。いいかい?」
「ハイッ!」
「君の年俸改定は3年後。ヒデのは2年後だ。君たちは勝負の年に差し掛かっていることを忘れないでくれ。」
「ハイ」
「そう、それと・・・」
「ハイ?」
「いつでも成長・いつでも反省を続けてくれよ」
「ハイっ!」
「多少キツイことを言わせて貰うと、君はこの7年間、ずうっと「屈指」レベルで止まっている。これでは「いつでも成長・いつでも反省」を実現しているとは、言えない、と理解してくれ」
「・・・ハイ」
「君は2回も留学に行っている。正直言って、神レベルは目と鼻の先だ。早く君が神レベルに昇格してくれることを強く願っているからね」
「ハイっ!」
「タッチャン、そのためには、何をすればいいのかな?」
「オーナーが言いたいことは分かりました!ちょ、ちょっと失礼してもいいですか?」
「あぁ」










オーナーに最後まで言わせてはいけない。カリスマはこう言いたかったんだろう。「神レベルに早く昇格してほしい」と。そうすれば、俺のスタメンの座は安定だ。そのためには、オーナー室にいるべき人間ではないのが、現役の俺。






時間の大切さを伝えてくれたオーナー。そして、厳しくも真摯に俺の不満を聞いてくれたオーナー。
ありがとう、オーナー。やっぱ貴方はカリスマだ。。。


俺は急いで仲間達がいるフィールドへと向かっていった・・・。


一時閉幕。。。